BIS国際決済銀行イノベーションハブがmCBDCプロトタイプを開発

BISが複数の中央銀行と提携でmCBDC開発

BIS(Bank for International Settlements=国際決済銀行)は、複数の中央銀行と提携し、複数のmCBDC(BIS国際決済銀行主導のプロジェクトが発行するデジタル通貨)のプロトタイプを開発した事が分かった。

BISによると、BIS、香港、タイ、中国、アラブ首長国連邦の中央銀行とのコラボレーションにより、mBridgeプロジェクトを発足。同プロジェクト主導でmCBDCが開発された。また、同プロジェクト内で共通の相互運用可能なプラットフォーム上を構築し、各国のデジタル通貨を統合していくとのこと。プロトタイプにより、BISは国際転送と外国為替業務を数秒で完了することができ、商業銀行の既存のネットワークでの取引が完了するまでに数日かかることを考えると、このパフォーマンスは際立っており、これらの操作コストも最大で半分に削減できる。

プロトタイプはさらに、デジタル通貨とDLT(Distributed Ledger Techonology=分散型台帳技術)を使用する可能性を実証したとBISは述べている。

既存の支払いシステム

mCBDCの潜在的なメリットを強調するためにBISは、現在の国際決済と外国為替のシステムについて詳しく解説している。

これらの業務は通常、コルレス銀行(※1)として知られるシステムである管轄区域間の架け橋として機能する大規模なグローバル銀行のネットワーク内を世界中を移動します。

コルレス銀行(Correspondent Bank)とは…
海外送金を行う際に送金先銀行へと中継する銀行のことを指す。

これらのネットワークは複雑で、断片化されている可能性があり、現在のシステムでは、残念ながら運用上非効率性と言える。例えば…、世界各国で時差が発生しており、銀行はさまざまなタイムゾーンで営業している。そのため、各国の決済システムの営業時間の影響を受けている。マネーロンダリング、脱税、またはテロ資金供与に対する法的に義務付けられている保護措置も重複して適用されるため、かなり複雑である。BISからの最新年次経済報告書によると、mCBDCは、今日のシステムの制限を改善するための最大の可能性を提供します。報告書によると、それらは中央銀行に「クリーンな状態」のスタートを提供し、それはレガシーの取り決めや技術によって負担されることはありません。

BISはmCBDC以外の開発にも積極的に取り組む

mBridgeプロジェクトとは別に、BISはmCBDCの他の開発にも取り組んでいる。

中央銀行デジタル通貨の設計選択は、顧客のニーズに従う必要がある=BISレポート」でデジタル通貨に焦点を当てた報告書を公開したのを皮切りに、10月には「7つの中央銀行とBISが、デジタル通貨に関するレポートを公開」中央銀行が安全な決済手段を提供し続けるためにCBDCが重要な手段になるとの見方を示している。また、同月には、「国際決済銀行(BIS)、年末までにデジタル通貨の実証実験を開始へ」で報じたように、CBDC実証実験を開始させているほか、「世界の中央銀行が今後3年でCBDC導入の可能性を調査=BISレポート」でCBDC導入の可能性を調査。2021年6月には「BIS(国際決済銀行)、政府による資金管理維持のためにCBDCが必要と語る」で報じたように、規制を必要としながらも、CBDCの必要性を認識した発言を公表している。

2021年9月初め、BISは、mCBDCを使用した国境を越えた取引のためのプロトタイプ共有プラットフォームの開発を目的とした「ProjectDunbar」を発表。このプロジェクトでは、BISはオーストラリア、マレーシア、シンガポール、南アフリカの中央銀行と協力している。なお、BISは2022年の調査結果を発表する可能性が高いと述べている。

「中央銀行デジタル通貨の設計選択は、顧客のニーズに従う必要がある」=BISレポート

2020.03.03

7つの中央銀行とBISが、デジタル通貨に関するレポートを公開

2020.10.09

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