「中央銀行デジタル通貨の設計選択は、顧客のニーズに従う必要がある」=BISレポート
Bank for International Settlements(BIS)の新しいレポートで、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)発行者に対して、技術的な選択を行う際に消費者のニーズを念頭に置くよう求めていることを明らかにした。
BISとは62の中央銀行からなる国際金融機関であり、この度CBDCsのトピックに焦点を当てた最新のレポートで、中央銀行がどのようなデジタル通貨を発行すべきかどうかという議題に直面した。
その中で、プライバシー、使いやすさ、現金のような安全性、ユニバーサルアクセス、国境を越えた支払い、現金のようなピアツーピアの使いやすさの6つを主要な消費者のニーズとし、CBDCの設計選択に求めたとのこと。
また、レポートには設計オプションとして、中央銀行が卸売口座のみを追跡し、消費者が仲介者に対する請求権を持つ間接CBDCモデル、中央銀行に直接請求する直接CBDCモデル
、中央銀行に対する直接請求はあるが、仲介者が支払いを処理するハイブリッドCBDCモデルの3つの案が上げられている。
全てのオプションには長所と短所が介在しており、BISは選択肢を提供したまでにとどまっており、明確な決定は中央銀行の決定に委ねる姿勢を見せている。
問題は設計オプションのみならず、現金のような安全性を達成するために、DLTベースまたは従来の中央銀行インフラストラクチャを利用するのかという問題が挙げられているようだ。
前者はサービス拒否攻撃の場合、コンセンサスメカニズムに関連するリスクがあるのに対して、後者はデータが複数のノードに記録されるため、最上位ノードを標的とするハッキング攻撃に対して脆弱であるという欠点を抱えている。
そのほかにも、どのように誰にアクセスを許可するかという問題や小売業との連携など、考慮すべき問題点は山積みのようだ。
いづれにせよ、使う消費者のニーズがしっかりと意識された安全で便利な通貨を設計するには国際的な調整が必要不可欠であろう。