OpenSeaでバグが発見される
長い英数字で構成されているイーサリアムアドレスを文字列に変換するイーサリアムネームサービスを提供するENS(Ethereum Name Service=イーサリアムネームサーバー)の主任開発者であるニック・ジョンソン(Nick Johnson)氏が、NFTマーケットプレイスOpenSeaのバグを発表したことが分かった。
ジョンソン氏がENS名「rilxxlir.eth」をOpenSeaへ送信したところ、バグによってバーンされるアドレスに送信されてしまい、「rilxxlir.eth」の所有権を失ったという。今回のバグは、ENS名(NFTの形式で提供される)を転送すると、通貨をバーンしてしまうアドレスに移動してしまうもので、再び移動できないアドレスに誤って送信されてしまうとのこと。ENSは、ブロックチェーンアドレスをドメイン名に関連付けるサービスであり、イーサリアムのトークン規格ERC-721が採用されている。
A frantic call to @OpenSea later, it transpires I was the first and apparently only victim of a bug introduced to their transfer page in the past 24 hours, which affected all ERC721 transfers to ENS names. Ownership of rilxxlir.eth is now permanently burned.
— nick.eth (@nicksdjohnson) September 7, 2021
ジョンソン氏はバグについてツイートで、OpenSeaでバグが発生し、過去24時間にENS転送で確認された最初のバグであり、ENS名へのすべてのERC721転送に影響を及ぼし、同氏の「rilxxlir.eth」の所有権もバーンされたとツイートしている。また、ジョンソン氏はツイートを行う前にバグが修正されたと主張しているが、後に、21人のユーザーが取引した32件の他のトランザクションが影響を受けたことに気付いたとのこと。これにより、被害にあった全34のアドレスが所有する42個のNFTがバーンされており、被害額は市場で入手可能な最低価格を見積もっても28.44ETHで約10万ドル(約1,100万円)にも上るとのこと。
人気が上昇し続けるNFT
NFTは近年、信じられないほどの人気を博しており、OpenSeaのバグで失われた各NFTセットの平均値が、2,300ドル(約25万円)を超えていることを考えるとその人気の高さが伺える。
実際、多額のNFT作品が次々に落札される事態に陥っており、メディアなどでも、107の類人猿コレクションが高額で落札されたことを報告している。その一方で、NFTがイーサリアムネットワークの料金を引き上げることについての懸念の声もあり、イーサリアム開発者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏はこの問題を解決するために、イーサリアムネットワーク上にレイヤー2ソリューションを作成することを提案。現在は、このバグは解消されているとのことだが、OpenSeaは公式発表など公式アナウンスはしていない。当該事案についてOpenSeaとやり取りを行っているジョンソン氏によると、現在同社は事後分析のレポートを作成していると説明しているという。