MastercardがCipherTraceを買収して仮想通貨の監視強化へ

MastercardがCipherTraceを買収

世界最大のカード決済企業の1つであるMastercard(マスターカード)は、仮想通貨分析会社であるCipherTraceを買収したことを発表した。

Mastercardは、不正を検出し、仮想通貨監視戦略を拡張し、イノベーションを推進するためにCipherTraceを買収したものの、買収契約の条件は明らかにされていない。カリフォルニア州メンロパークを拠点とするCipherTraceは、さまざまな規制当局をクライアントとして持つ、トップオンチェーン分析会社の1つであり、違法な仮想通貨取引を追跡するために、世界中の銀行、仮想通貨取引所、政府規制当局、法執行機関と協力してきた実績を持っている。そのため、Mastercardは今後、CipherTraceの分析機能を活用して、仮想通貨関連セキュリティと不正検出の強化を表明しており、MastercardのCyber&Intelligence  MastercardのCyber&Intelligence アジェイ・バラ(Ajay Bhalla)社長は次のように語っている。

デジタル資産エコシステムの急速な成長に伴い、信頼性と安全性を確保する必要が生じています。私たちの目的は、MastercardとCipherTraceの補完的な機能に基づいて、まさにこれを実現することです。


匿名性の高さによる問題の対策と競合他社との差別化

ビットコインやその他の仮想通貨は取引が匿名であるという特徴のため、多くのハッカーやその他の犯罪者にとって悪用されているため、CipherTraceのようなサービスによりこれらを追跡する必要があるようだ。

Mastercardは今回の買収により、顧客が独自のデジタル通貨サービスを構築し始める際に、顧客自身を保護し、規制を遵守するのに役立つことを期待している。同社は現在、カード決済処理における最大のライバルであるVisaは、さまざまな仮想通貨企業と提携して支払いカードを発行したり、ステーブルコインの支払いをサポートしたり、NFTを購入したりするなど、仮想通貨分野で強力な存在感を示してきた。これらに対し、同社は競合するVisaとの差別化を図るべく、仮想通貨戦略を計画しており、買収はその計画の一環とみられる。これに追随するように同社は最近、仮想通貨取引きプラットフォームのUphold、同じく仮想通貨取引きプラットフォームであるGeminiBitPayと提携して支払いカードを作成し、Visaのリードに従ってネットワーク上で直接USDコイン(USD Coin/USDC)による支払いをサポートしている。