デジタル人民元は完全匿名ではなく「制御可能な」プライバシー保護を提供

デジタル人民元は完全匿名ではない

中国銀行の営業責任者はデジタル人民元について、完全なプライバシー通貨になるわけではなく、ある程度の制御可能なプライバシー保護を提供する予定であることを明らかにした。

これまでにも当NEXTMONEYの特集記事「中国深セン、3回目CBDCテストで約3億円相当のデジタル人民元を付与」などで報じているように、デジタル人民元の実証実験を、限定された地域内ではあるものの、繰り返し実施しており、世界のデジタル通貨市場のトップを走っている。しかし、デジタル人民元の今後のリリースに関しては議論されてこなかった分野であり、税制と財務テロを避けるためには完全に匿名の中央銀行のデジタル通貨(CBDC)は不可能であるとの認識を示している。

規制準拠のためには制御可能な匿名化の概念が必要不可欠

中国政府はAML(マネーロンダリング対策)やKYC(本人確認義務)、CTF(中国政府はAML(マネーロンダリング対策)やKYC(本人確認義務)、CTF(テロ資金供与防止))に十分に準拠する必要があり、そのためには制御可能な匿名化の概念が必要不可欠であるとの認識を示している。

実際、中国銀行は、デジタル人民元に実装された、制御可能な匿名化技術があることを明らかにしており、中国のCBDCを通した税制回避スキームに徹底的に対策していく構えである。また、仮想通貨に関して、最も弱いKYC強度を持つウォレットは匿名のウォレットであり、これは携帯電話番号のみで開くことができるため、手軽に取引することができるというメリットがある。もちろん、このタイプのウォレットは最低限のバランスと毎日の取引制限がなされており、多額の支払いをしたい場合は、ウォレットをアップグレードする必要があり、KYCの強度が増加するにつれてウォレットの残高と支払い上限が増加する仕組みとなっている。

現在の中国における国内法規制によると、テレコム事業者は携帯電話顧客情報を中央銀行などの第三者に開示することを許可されていない。したがって、携帯電話番号で開かれたウォレットは、中国の人々の銀行やさまざまな運営機関にとって完全に匿名であり、把握することが不可能になるとみられている。つまり、デジタル人民元ユーザーが大幅なトランザクションを実行したい場合、この機能のロックを解除するために、より多くの個人的な詳細を提供する必要がでてくる。これにより、中国銀行は個人のウォレットから必要な情報だけを扱うことができ、いわゆる制御可能な匿名化技術が用いられる予定であるとのことだ。

中国深セン、3回目CBDCテストで約3億円相当のデジタル人民元を付与

2021.01.05