アイルランド中銀、4月から仮想通貨取扱業者にAMLチェック実施へ

アイルランドが4月からAMLチェック実施へ

アイルランド中央銀行が、2021年4月から仮想通貨取扱業者に対し、AML(マネーロンダリング防止)とCFT(テロ資金供与)要件を課す事が分かった。この新規制により、アイルランドの中央銀行は業界をより監視していくとのこと。

仮想通貨をはじめとするデジタル通貨の買い手と売り手は、アイルランド国内でにおいて、今年4月以降、匿名で取引ができなくなる。地元のdaily Irish Independent(日刊アイリッシュインディペンデント)が報じた内容によると、VASP(※1)としても知られる仮想通貨取扱業者は、クライアントに対し、4月からマネーロンダリング規則やその他の基本的な規制に準拠しなければならない。これは、欧州諸国がEUの5AMLD(第5次マネーロンダリング防止指令)を採用した後のことだ。

(※1)VASPとは、Virtual Asset Service Providerの頭文字から呼ばれている略語で、仮想通貨の交換、移転、保管、発行、引受といった仮想通貨取扱い事業者で、仮想通貨取引所やデジタルウォレットのプロバイダーなどの総称。

同中央銀行は、ビットコインのような仮想資産を交換または転送するすべての企業、および仮想通貨発行者に金融サービスを提供する企業は、顧客に対する十分な注意を払い、顧客資産の出所と行き先を説明する必要があり、金融サービスプロバイダーに適用されるマネーロンダリング防止規則に沿ったもの。

アイルランド中央銀行による規制

アイルランドでは、NEXTMONEYの特集記事「アイルランド、仮想通貨マネーロンダリングの監視準備へ」で報じたように、アイルランド内閣によって2020年8月、新マネーロンダリング防止(AML)法を導入する予定で、これらの法案は、マネーロンダリングやテロ資金調達などの違法な金融活動における仮想通貨の使用に焦点を当てていると当時、地元メディアが報じている。

今回の規制はさらに踏み込んだ内容となっており、仮想通貨取扱業者は、健全なAMLおよびCFTポリシーを持っていること、およびその管理が金融業界の適合性と信頼性の基準を満たしていることを規制当局に納得させる必要がある。監督規則の変更により、中央銀行は、企業での上級任命を阻止したり、AML法またはCFT法に従わなかった場合に執行措置を講じることもできるようになる。

アイルランド国内では、仮想通貨プラットフォームについて何年もの間、犯罪使用やテロ資金供与活動に対して脆弱であると非難されてきた経緯がある。より広い金融規制の枠組みに持ち込む動きは、より広く使用され受け入れられるための合法的な仮想通貨インフラストラクチャーの開発における必要なステップとして、実施される。

アイルランドの新規制は、規制当局による業界監視をより多く与えており、同国メディアが指摘しているように、VASPでのシニアアポイントメントをブロックまたは取り消すことができる。また、VASPがすべての要件を満たしていないことが判明した場合に、どのような施行措置を講じるかを決定することも可能だ。アイルランドは、仮想通貨取扱業者にとって物議を醸している規制の枠組「5AMLD」を採用したヨーロッパ最新の国である。この5AMLDにより、オランダに拠点を構えていたビットコイン取引プラットフォームBittrなど、一部の中小取扱業者は閉鎖を余儀なくされている。

アイルランド、仮想通貨マネーロンダリングの監視準備へ

2020.08.11