米税務当局、仮想通貨の配布「エアドロップ」の税整備は不明なまま
2019年11月13日、ワシントンで行われたAICPA国税会議にて、米国税庁(IRS)アソシエイトチーフカウンセルの弁護士Suzanne Sinno氏がエアドロップの課税について「宣伝用のエアドロップを課税対象として扱うべきかどうか、まだ決定していない」と述べた。
IRSは先月9日、仮想通貨の新しいガイダンスを発表したが、その中でハードフォークで新しく誕生したコインについての記載があった。IRSではこの分裂後の新生コインもエアドロップとし、「受け取らなかった場合は課税対象にならない」が、「受け取った場合は課税対象となる」と決定。Sinno氏は会議にて改めて「ハードフォーク後に受け取ったコインのみが課税対象となる」と明言。
問題は宣伝などで無料配布されたエアドロップで、こちらに対しての扱いはガイダンスでも明記されず、Sinno氏の講演でも触れられなかった。
もうひとつの問題点
AICPA国税会議では、米国の仮想通貨トレーダーを悩ませるもうひとつの問題が浮き彫りに。2017年の税制改正で行われた変更によって、仮想通貨同士の交換は為替税法「1031交換」のルールが適用され、利益の繰越・納税の延期が可能と思われてきた。
ところがSinno氏の講演によってそのルールが「実は仮想通貨には適用されていない」ことが判明。同種交換でも2018年以前の取引は過去にさかのぼって課税対象となってしまった。このため多くの米国トレーダーが申告していない可能性が出てきた。
なぜ申告漏れが問題視されるのか
結局のところ、仮想通貨トレーダーは2018年以前の「仮想通貨同士の交換によって得た利益」の申告漏れと、「エアドロップとして受けっとった分の収入」の2つを申告する必要があるかもしれないのだ。そして仮想通貨トレーダーを神経質にさせる理由は他にもある。
混乱する投資家
IRSは7月26日に、仮想通貨保有者および税金の未納者と思われる1万人以上に警告文を送っている。さらに11月に入り米国と他4ヵ国の税務当局と会議を開き、仮想通貨の脱税者と剤バー犯罪者を数十名特定できると発表。
IRSは複雑な税の仕組みに混乱する投資家に対し、申告にミスがあった者を取り締まるのではなく、まったく申告していない悪質な者に対する取り締まりを強化するのだとしている。
しかし多くのトレーダーは仮想通貨同士の交換で得た利益の申告はしていないため、IRSの今後の正式な発表に注目している。
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