デジタル人民元は冬季オリンピックに流通開始か
正式なリリース日の詳細はまだ不透明ななか、中国政府主導で発行される中国人民銀行(PBoC)のデジタル人民元(CBDC=Central Bank Digital Currency)を2022年に開催される予定の北京オリンピックで使用する計画を立てていることが分かった。
ロイター通信(Reuters)社の報道によると、PBoCの金融政策部門の責任者サン・グオフェン(Sun Guofeng) 金融政策局長は、中央銀行は金融政策の方向性や政策への柔軟なアプローチを変更しないと語った。中国はコロナパンデミック後の景気回復が加速しているなか、北京ではさらなる緩和を控えており、中国は通常の金融政策を維持すると発表。サン氏は、流動性も十分に留まっていることから、中国経済は潜在的な成長に戻るだろうと述べている。
中国はゼロまたはマイナスの金利や量的緩和などの他の非伝統的な政策を採用していない。中国当局は、COVID-19で打撃を受けた企業などに対し、支援年て金利の安いローンを提供し、手数料を削減するなど銀行に要請し、経済回復に向かっている、貸し手側も不良債権の急増と利益の減少に伴う資本の補充の困難に対して立て直しを図っている最中だ。
銀行部門への当局による圧力にもかかわらず、中国が銀行の自己資本比率の規制要件を下げる必要はないと、PBoCの劉国強(Liu Guoqiang) 副総裁はコメントしている。Liu氏によると、銀行部門の自己資本比率は6月末までに14.21%にまで低下したものの、規制基準である10.5%を上回っている状況だ。また銀行にはデジタル通貨の導入予定はないと述べているが、サン氏の声明によると、PBoCは2022年の冬季オリンピックの前に国際スポーツイベントで使用する予定であるため、発売する可能性が高いとロイターは報じている。
現在、中国中央銀行は、深セン、蘇州、香港、成都でデジタル通貨の試験を実施しており、中央銀行が北京、天津、河北、香港の大湾岸地域を含む他の地域全体でパイロットテスト用のデジタル通貨を展開することを計画していたと報告されている。
銀行の最近の公式声明では、小規模な小売取引についてのみデジタル元をテストしていると述べており、中央銀行はデジタル通貨を紙幣に変換できないという噂を断ち切り、デジタル元はユーザーが1:1の比率で紙幣に変換できる法定通貨であることを明らかにしている。
中国のデジタル通貨に関する情報は、政府が情報をコントロールし、外部に漏れないように情報統制が取られているのか、現時点での情報は少なすぎる印象を受ける。その裏側には、アメリカとの経済戦争と呼ばれる金箔下経済摩擦も多く関与しているものとみられている。そのため、いつ、どのようにして一般市場へ流通するのか、確実な情報はないものの、今回サン氏がコメントした内容からも読み取れるように、銀行がデジタル元のローンチに向け、急速に進んでいることは明白だ。