ファイルコイン&IPFS創設者Juan Benet(ホアン・ベネット)が答える「デジタル時代の分散化と人権」

ファイルコイン&IPFS創設者ホアン・ベネットが答える「デジタル時代の分散化と人権」

IPFSとファイルコイン(Filecoin / FIL)の創設者であるJuan Benet(ホアン・ベネット)氏が、様々なサービスを使用して著名人とユーザーを繋ぐプラットフォームHacker Noonのポッドキャスト(Podcast)に出演し、これから訪れるWeb3.0時代の未来やクラウド開発の歴史、新しいアプリケーションとプロトコルの寿命、アプリケーション技術の成長率に影響を与える要因、さらにはIPFSの背後にある技術とファイルコインの詳細について語りました。

今回は、Twitter上で公開されたポットキャストの内容を日本語に翻訳しIPFS及び、ファイルコインの生みの親であるホアン・ベネット氏が考えるストレージの未来とその構想を紹介していきます。

Hacker Noonとは
Hacker Noonは、実際の技術専門家によって作成された自由なストーリーと意見でテクノロジー業界を反映しています。何千もの声を伝えることで真実に近づくことができるコンテンツサービスです。

ファイルコイン&IPFSとは?【簡単に解説】

ファイルコイン(Filecoin / FIL)とは、IPFSと呼ばれるHTTPに代わるP2P分散管理ファイルシステムを基盤として大型プロジェクトです。日本では馴染みのないプロジェクトですが、2020年3Qにメインネットローンチを控えており今年再注目のプロジェクトとして注目を集めています。

ICOプレセール、開始1時間で約170億円を調達!【参加は適格投資家に限定】

2017年8月に実施されたICOプレセールでは、開始1時間で約170億円の資金調達に成功。資金調達は最終的に、約282億円の資金を集め、歴代資金調達額2位を記録しています。

さらにはICOプレセールに参加できたのは適格投資家と呼ばれるプロ投資家のみ限定されています。このプロ投資家・適格投資家のICOへの参加条件も限定されており、総資産額1億ドル以上の投資家または年間20万ドル以上の利益を出した投資家のみが参加を許され、大手VCや適格機関投資家2100名が参加しました。

IPFS(Interplanetary File System)
「IPFS(Interplanetary File System)」は、Protocol Labs社のJuan Benet氏が考案したHTTPに代わるP2P分散管理ファイルシステム。インターネット上で提供されているハイパーテキストシステム「www」と同様にファイルを配置し、パブリックにユーザーが誰でもアクセスが可能になり、中央集権のストレージ問題を解決するシステムである。

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IPFS & ファイルコイン創設者ホアン・ベネットのPodcast【Hacker Noon】

【はじめに】最近の活動について

Hacker Noon

みなさん、こんにちは。Hacker Noonのポッドキャストの時間です。今日は特別なゲストをお迎えしています。彼の名前はホアン・ベネット(Juan Benet)。IPFSを開発したプロトコル・ラボ(Protocol Labs)の創設者であり、仮想通貨の世界ではファイルコインという大きなプロジェクトの創設者です。ICOプレセールでは15から20分で約2億ドルの収益をあげた話はあまりにも有名でみなさんご存じだと思いますが、これは大きなサクセスストーリーと言えます。私個人の意見ですが、この成功により、次から次へとアイデアが生まれてお金を稼ごうという潮流が生まれたと思います。

本日はもう一人、Vasaさん(ワサ)というゲストをお迎えしています。彼はHacker Noonの貢献者で、Web3.0に関連するトップライターでありながら、Hacker Noonで分散化の影響力に関しての議題の中心にいる人物です。

さて、これ以上時間は無駄せずに始めたいと思います。本日の名誉あるゲスト、Juan Benet氏が最近どういった事に取り組んでいるのか聞いてみたいと思いますが、話し出すと止められないと思いますので早速始めましょう。

Juan Benet

ご招待頂きありがとうございます。あなた方とそれからHacker Noonの視聴者の方々とお話しする機会をいただけて光栄な事ですし、Hacker Noonの投稿をいつくか読みましたので呼んでいただけて嬉しいです。

最近はどういった事に取り組んでいるかについてですが、プロトコル・ラボは多くの様々なシステムやプロトコルを作りますが、IPFS、ファイルコインやlibp2pなど、それぞれのプロトコルやプロジェクトは前進していて、軌跡をもっていますが、最近は2つのことにフォーカスして取り組んでいます。一つはIPFSの成長と進めている改善点や広範囲の新しいアプリはIPFSをスタティックなアセットをストレージする為、またはIPFSが搭載された状態で出荷されますので、ネットワークを拡張しながら導入いただいている方々と働けることが大きな取り組みの一つです。

Juan Benet

もう一つがファイルコインの構築で、ファイルコインをメンテナンスに漕ぎつけて出荷することです。これはたぶん仮想通貨のスペースで一番期待されていることで、5月のローンチに近づいているのでとても興奮していますし、複数のテスト試験をしています。世界中のマイナー(採掘者)と共にたくさんの容量を集めていますし、ネットワークに出ていけることに興奮しています。7月の終わりまたは8月初め頃に韓国をターゲットとしていますが、あくまで順調にいった場合の予測ですので、もっと後になる可能性はあります。

今はネットワークの容量にとても興奮していますし、手に余るぐらいの容量になるので、アプリ開発者にとっては素晴らしい世の中です。アプリ開発やWeb3に大量のデータを移動するなど、これまでIPFSでやってきたことができます。アマゾンのS3ではなく、ちゃんとした暗号化されたWeb3ネイティブ分散化ストレージネットワークに移すことができます。

また、分散型ストレージ市場を作ることで、どういった影響が出てくるか期待して待っています。誰でも容量を追加することができて、いる場所がユーザーに近いことからストレージの提供者になろうと競争力が出てきて、ブロックチェーン以前はこういったことは無理でしたので出来なかったですし、クラウドのストレージにしっかりしたマーケットの構造を作った時にどうなるか確かめられると思うとワクワクします。現在はハードディスクが商品化されているけれども、クラウドストレージは商品化されていませんので、世界中の人とストレージ契約が簡単に出来るようになることでどういう事になるのか楽しみです。

Juan Benet

今年は楽しみなことがたくさんあります。IPFSの新しいアプリ全般の開発、Web3を前進させる事やファイルコイン、libp2pなどの下位層プロトコルはWeb3スペースでは下地に使われましたし、今では多くのブロックチェーンがネットワークレイヤーにlibp2pを使っています。

これ自体はIPFSからリファクタされたものですが、それは我々がよくやる手法でシステムが大きすぎるとサブシステムやサブプロジェクトに分割しますが、成功しましたので今ではブロックチェインスペース全体の主要なベースになるネットワークレイヤーなっています。ポカドットなどのグループは出荷して採用しましたし、またたくさん他にもありますが、そういったシステムを維持しながら改善する事をしています。本当に素晴らしい一年ですよ。

 

Hacker Noon

いろいろ聞けて嬉しいですね。仮想通貨やそういったスペースの中で起きていることは新鮮な変化として受け止めています。さて、Vasaさんの話題に移りますが、彼の本名はブラボですが、彼はWeb3.0 IPFSの中心的な支持者であり、Hacker Noonで60以上の記事を出版していて、IPFS、OrbitDB, Ethereum, Quorumや他にも大いに貢献しています。

最近はどういった事に取り組んでいるのか、そして開発者の観点からWeb3.0についてどのように考えているか聞いてみましょう。今日は生み出した人の観点が聞けますし、開発者の観点もどうなのかを聞いてみたいと思います。Vasaさん、宜しくお願いします。

Vasa

みなさん、こんにちは。私の名前はブラボ。インターネット上ではVasa(ワサ)と呼ばれています。私は2017年からスリー・スペースで働いていて、2018年からスタートアップを運営しています。IPFS、Ethereum、OrbitDB、Quorumなど多くのプロジェクトに参加しています。2018年頃からHacker Noonに参加していまして、その期間中にHacker Noon1からHacker Noon2.0へ成長するのを見てきましたし、媒体から移ってきて大変良かったです。最近はアッカードというプロジェクトに取り組んでいます。

Web3.0へアプローチする構造的な方法がなく、あっちこっちにいろんなツールがあったりして新しいものも出てきていますし、実際私がWeb2から新しいディベロッパーとして3スタックを使いウェブアプリを作成しようとした場合、ユーザーに見せられるアプリを作るに実際に1,2月かかるでしょう。

私たちはどうすれば、アプリを作成できるだろうかという問題を解決しようとしています。昨年の11月からこれの作業をしていますが、大学の仕事の為数か月は休まなければならなかったですが、4月に再開しまして、されからというもの2か月足らずで200キック・アップ・スターズに急成長しています。これ以外ではデータセンターとマイニング(採掘)についての本を書いています。そんなところです。

Web3.0時代が大衆に受け入れられるにはどうしたよいでしょうか?

Hacker Noon

いい感じに活動していますね。二人の今後の幸運を祈ります。ではポッドキャストの議題から始めたいのですが、最初に見て見ぬふりをする人のことについて話したいと思います。Blockchain(ブロックチェーン)、Bitcoin(ビットコイン)や仮想通貨を信用している人もいれば、そうでない人もいます。信用していない側の人の強い意見としては、そういったものには拡張性がなく、大衆に受け入れられないという事ですが、彼らはインターネットが根付くまでにどれだけ長い時間を要したかを忘れています。

正確な日付はわかりませんが、1960年代もしくは1950年代初め頃にDARPAによって作られて、「.com」のブームと「.com」がダメになって、インターネットは終わったとされた時期を経なければなりませんでした。彼らはインターネットに対して寛大でしたが、もっとユーザー側に対して寛大であるべきだったと思います。

大衆に受け入れられるにはどうしたよいでしょうか?あなたならこの質問に対してどう答えますか?年中無休でこういった事に取り組んでいると思いますので教えてください。

Juan Benet

わかりました。まず、思うのはこのスペースが将来的にこれ以上悪くなるということないということ。そして、これについては2つの考え方が出来ると思います。一つは、近づいてもっとよく見れば実際は大衆に受け入れられているのがわかります。他のものよりスピード感がないので表面には出にくいのだと思います。みんな急成長したソーシャル・ネットワークに慣れてしまって、例えばフェイスブックは2004年あたりに企業したときはわずかなユーザー数からスタートし、5,6年あるいはもうちょっとかけて何十億人へと超高速に成長しましたし、人々はそういった超高速成長に慣れてしまったと思います。インスタグラムなどもそうですね、超高速に成長を遂げています。

Juan Benet

こういった成長は非常に高い拡散性があるソーシャル・ネットワークまたはソーシャル・メディア特有のものだと思います。こういったシステムがない場合は、ほとんどのアプリ技術の成長速度はぐっと遅いものです。そういった視点で物事を考えると、仮想通貨とWeb3.0は超高速で伸びていると言えます。他のことともよく似ていると思いますし、例えばクラウドを見てみてください。

2007、8年頃に登場して、爆発的に普及し始めた時期ですが、Heroku(ヘロク)がいつ登場したかは覚えていませんが、人々はその頃がクラウドの時代と想いがちですが、実際には2000年に登場し、ブームの最中にラウド・クラウドという会社がありましたが、これはベン・ホーヴィッツとマーク・アンダーソンや他多くの人と始めた会社ですが、その時代のコンピュータ技術が5から7年後に我々が目の当たりにするクラウド開発全体の出発点になりました。そして、その時でさえ、クラウドという言葉は既に5、6年は使われていました。コンピュータ技術のプラットフォームが育つには最低10年、15年はかかるもので、ちょうど私たちはWeb3や暗号通貨スペースの軌道に乗って予定通り前進しています。

Juan Benet

数字を見る事はヒントになりますし、今現在Web3.0は恐らく5000万から1億5000万人のユーザーを持っているのではないかと思います。

コインベースは単体で3000万ユーザーがいますし、あらゆる両替、あらゆるウォレット、あらゆるアプリを含めますが、人気が出てきている初期のWeb3.0ネイティブアプリなどは含みません。大事なのは成長速度で、どのような速度でこういったシステムは成長していて、どの程度大衆に受け入れられているか。現在はソーシャル・ネットワーク程、速くはありませんが、スペースにネイティブ・ソーシャル・ネットワークが入ってきたら超高速で拡散して成長が見込めると思います。

Juan Benet

現在はいろんなアプリが採用されていっていますし、安定した成長をしていますし、数字で見るといい具合だと思います。一般的なアプリのプラットフォームの軌跡を見るとこれぐらい時間はかかるものです。インターネットは、最初は研究プロジェクトから始まって、ネットが開発されるまですごい時間がかかりましたが、それでも超高速に広まったように感じます。

最初は数百万人がネットという新しいすごいものを発見して騒いでいましたが、それと比べたらWeb3.0や仮想通貨スペースはもっと巨大で、より大きいものです。しかし、近頃はインターネットが日常に馴染んでしまっていて、ソーシャル・ネットワークのように急速に成長していないと成長が無いように感じてしまいがちですが、実際は大変成長しています。

IPFSは一年ごとに少なくとも10倍の成長に期待

Hacker Noon

非常に面白い論点ですね。確かに人々はなんでもかんでもソーシャル・メディアなど身近なものと比較しがちで、拡散しなければ懐疑的になってしまう。

Juan Benet

そういったケースをよく見かけますが、IPFSを例にすると一年ごとに少なくとも10倍の成長が出来て、その成長を維持できれば、数年で10億単位のユーザーまたは10億単位のマシンを増やす事ができます。

ブロックチェーンを理解する人々は増えている

Hacker Noon

その通りですね。いい事だと思います。IPFSについて話す時、主流のメディアがどのように見ているかで考えるべきです。

私が一番好きな身近な例えを用いますと、シリコンバレーというドラマですが、このドラマでは分散化したインターネットを作ろうとして、もちろん好きなドラマではありますが、仮想通貨側の描写の部分がどうもやり過ぎに思えたのですが、それについての意見を聞きたいです。

Juan Benet

僕たちも一連の話を見るのは好きでした。ドラマの脚本家と話す機会があって、僕たちやいくつか別の組織に声を掛けてくれていて、質問やあれこれどうなっているのか聞かれたりして楽しかったですし、非常に頭のいい人たちで商品についてしっかり理解していましたし、ブロックチェーンの動きについてもしっかり理解していました。すごく好きだったのが、脚本全体が本当に起きている問題をちゃんと捉えていた点です。

問題、アイデアや実際起きていることを大変明確にしてくれたので、大変多くの人がドラマを見たお陰で参考にできる共通点が生まれたことで、Web3.0の暗号化スペースについて自分たちがやっていることを話すのは以前より簡単になりました。

Juan Benet

屈折点みたいなのがあって、自分たちがやっている事を説明するのは難しいという経験をしたのですが、シリコンバレーのドラマが始まると、いろんな事や組織について人々は理解し始めたので、こういったシステムが何をもたらすのかについての理解はものすごく速くなったと言えます。

ドラマがあった事はすごく良かったですし、問題に焦点を当てていただいて本当に良かったですし、多くは正確に再現できていたように思います。

IPFSの分散化はどこで線引きする?誰が取り締まる?誰が管理をする?

Hacker Noon

さて、これからIPFSと検閲についてのもっと難しい質問をしたいと思います。2つの側面があると思うのですが、特定のことは規制する必要がありますし、一方で自由があるべきですが、誰が線引きをするのでしょうか?

IPFSに関しては分散化されていて、お二方はいろいろ発言していいと思いますが、お二人ならどこで線引きしますか?誰が取り締まりますか?明らかに良い事と悪い事があって、特定のことは見方または特定の法律によっては悪い事になりますが、誰が管理をするのでしょうか?政府の管轄でしょうか?そういった質問に対してはどう答えますか?

Juan Benet

これはIPFSに限らず、インターネット全体、インターネット・プロトコルにとっての重要な疑問です。私が思うには人権もデジタルである必要があると思います。コンピュータやその成長を考えますと、巨大だったコンピュータは今ではポケットに入れて持ち運べる時代です。コンピュータのアイデアから全員がコンピュータを持って歩き回るようになるまで約80年懸かっています。ポケットに入るスーパーコンピュータで電話したり、世界全体をストリームできますし、地球上のあらゆる人にメッセージを送れますし、公共の会話に参加することもできますし、国の大統領にツイートして責任を取るように言うことが出来たり、あらゆる素晴らしいことが可能になっています。以前に比べて人や世界と繋がる能力が格段に良くなりました。

Juan Benet

そして、このすごい力は使う人の人権を尊重するように技術が機能するようにするという非常に重要な依存が生まれています。難しいのは我々が文明でありながらも、良い事と悪い事が何であるかの共通した意見を持っていない点ですが、違う視点をもったり、異なる実験をしたりすることは重要ですし、それぞれのグループに異なる選択をさせることは重要ですし、あるグループにとっては良いことであったとしても別のグループにとっては悪い事だったりしますが、大事なのは権限を持っていること。グループは権限をもって、そのグループのネットワークで何が起きるかを決める必要があります。

あるグループが特定のコンテンツを配分するのは良くないと思った場合、彼らはグループとして配分をしないという決定が可能であるはずです。その決定は1000キロも離れて彼らとは関係のない別のグループによって決められてはいけないと思います。

管理する権限はどのようにするのか?

Juan Benet

つまり、現在依存しているコンピュータ技術が私たちに悪さをしないようにしなければならないということです。良いか悪いかの判断は私たち以外の人によって決められてはいけませんし、ユーザーの選択を中心に機能するシステムでなければならないし、コンピュータを触っている人間の方に権限を与えて、どのように機能するか選択できるようにすべきです。

私たちスタッフにはこういった考え方が浸透していて、ボットネットのように何かをやる為のノード全てに指令を出してコントロールするような中央的な方針は無い方がいいと思っています。逆にノードにはブロック・リストのようなデフォルトの設定があって、ある特定の国にいて特定の奉律に従わないといけない場合、特定の奉律に関連したブロック・リストに従って、特定のやり方に関連したコンテンツを配分またはダウンロードしないようにできます。

ただ、それは違う場所では異なりますよね、例えばある特定のことについては世界中の多くの人は悪いこととして賛同していますが、他のことに関しては明確にはなってなかったりします。

政府が管理するのか?

Juan Benet

物議を醸していますが、いくつかの国では多数の意見により政府がインターネットから公共の存在を消せるのは人権であるとしました。これは本当に物議を醸しています。何故なら、別の国の意見としては、それは歴史を消すようなもので、悪い事が出来たりしますし、記録を改ざんできたりしてしまう。いい意味での不一致が存在しています。

国によって異なる対応をとっていますが、ここで重要なのは、いろんな意見の人がそれぞれやりたい事と従いたいルールを敷けるインターネットのインフラです。もちろん同じデフォルト設定はあっていいのですが、人々がルールのセットを選択する自由を与えてあげるべきですし、コンピュータをコントロールできるようにしてあげるべきです。

テクノロジーがユーザーをコントロールすべきではない

Juan Benet

今のオープンソースやフリーソフトウェアの動きの中でテクノロジーはユーザーによってコントロールされるべきで、テクノロジーがユーザーをコントロールすべきではないと思います。これは非常に重要な機能で、もしもインターネットのプラットフォームを作る場合、制御機能を入れて第三者にもし制御を渡したとすると、システムを制御してありとあらゆる悪いことが出てきてしまうのは容易に想像できます。

今現在の一番大きな心配はこの世界的なパンデミックやちょっとした緊迫だったりしますが、歴史的に見るととても幸せな時代に生きています。大きな戦争の時代ではありませんし、数億という人が戦争や大量虐殺で迫害されるようなこともありません。

Juan Benet

想像してみて欲しいのですが、もしも、政府がインターネットのインフラをコントロールし始めて、位置情報を集めて特定の人を捕まえに行ったりしたらどうでしょうか?スノーデンの告発のショッキングな部分はそういった事ができるという能力の部分でした。

ただ、コンピュータに精通した我々はこの可能性については理解していましたし、こういった機器がどれだけの情報や位置を提供しているか知っていたので意外ではありませんでしたが、スノーデンの件で役に立ったのが、世界中の人々にこういった大量の情報の収集が常にあらゆる全ての政府によって行われているということに気付いてもらえた点です。

そして、人びとの機器を使ってスパイをしていたり、国同士の争いに巻き込んだりというような事はあっていけない事ですし、こういった攻撃からユーザーを守ることができるようなコンピュータのプラットフォームを守る強力な盾を作るべきだと思います。ユーザーの権限で使いたい機能を決められて、従うルールを選択できるようにすべきだと思います。

メインネットローンチを控えているファイルコインにはどういった事を期待している?

Hacker Noon

私も同感です。権限は持てるようにすべきですし、選択が出来るようにするのは理に適っていると思います。

さて、次はあなたが個人的に今何をやっているか聞きたいと思います。
例えば7月にローンチを控えているファイルコインにはどういった事を期待していて、もっと重要なところは成功のベンチマークはどういったものでしょうか?あなたにとっての重要業績評価指標はなんでしょうか?IPFSやファイルコインが最高だと言えるようになるには、どのようなればよいでしょうか?

Juan Benet

そうですね、5月のロンチに向けて準備していて、プラットフォームのノードの実装などを含め、良いサービスを提供する為にマイナーが必要とするツールの作成や回収を素早くする為の方法が必要ですし、パス・ラインへ実装とストレージできるようにアプリのデータ構造の開発とか、開発部分で主に忙しくしています。

Protocol Labsだけでなくて様々な組織から構成されていて二、三十のグループが集まってあらゆるツールやテクノロジーを開発するかなり大きな集まりになっています。テキスタイル、チェイン・セイフやサー・ミッツーやフリークなど、他に多くが寄り集まって必要なツールを開発して一つの生態系を形成しています。

焦点はマイナーや開発者やユーザー用のツールを準備すること

Juan Benet

今一番の焦点はマイナーや開発者やユーザー用のツールを準備することです。そこまで完了したら、大量のテストや評価を行う必要があります。ブロックチェーンのロンチはロケットのローンチに似ていて、非常に複雑な機械ながら多くのことを正確にやらなければいけませんし、一か所の貧弱性が大きな問題に繋がる可能性があります。

ロケットのように爆発は起きないとしても、リセットの必要性やネットワーク障害などの失敗モードに入ることはありますので、前もってテストと評価をしっかりクリアして、出来るだけ屈強で信頼できるシステムにしていくことはとても重要です。僕たちの初期の規模は他のブロックチェーンと比べてもっと大きいので、さらに準備が必要となります。

他のブロックチェーンと違って、直ぐに大量のマイニング活動を期待していますし、素晴らしいマイニングのコミュニティが存在しますので、ネットワークへ10や100PB(ペタバイト)の容量を持っていく準備をしています。
これだけの規模はこれまでのブロックチェーンのシステムでは前代未聞のことで、どうなるかは見てみるしかありませんが、さらに高いハードルも設定していたりしますが、とにかくテストはしっかり進めたいです。これが今開発の中心です。

データストレージと、支払いシステムの融合が大切

Juan Benet

さて、成功の指標はなんであるかについてですが、ユーザーデータをストレージすることが主な目的になりますので、ネットワークにユーザーやアプリが入ってきてデータをネットワークにストレージし、マイナーを雇って自分たちの島をバックアップして、後で仕えます。

ここで重要な指標は取引の数、誰かによってデータをストレージする為に支払いがなされていること。もう一つ重要な指標は、あらゆるストレージサービスで共通しているのがアップロード時間、回収スピードやデータロスが起きないように複製が用意されているとかといったことです。

後はネットワークの健全をモニタリングする機能が重要だったりしますが、あなたの質問の重要業績評価指標に関して言いますと、人が集まることによってこのサービスまたはエンドユーザーへのサービスを提供する為に、どれだけ有用で価値のあるデータが作られているかが重要です。こういったネットワークは軌道に乗る為に、一気に成長を後押しする時期があることを期待していますし、最初の数か月は可能性をテストしたり、試運転したりする時期にしたいです。初期の段階で大きなデータセットをもっているグループ、またはこういったネットワークの限界を試したいようなグループを獲得しようとしています。

Juan Benet

最初の6か月から12か月はネットワークの規模を作り上げることで、とことん最適化して、値が調整された状態にしたいですし、ネットワークが非常にいい状態で、大量の評価基準を収集したり、問題を洗い出したりして良いネットワークを作り上げたい。

これが終われば、ストレージする為のいい感じの規模を作り上げたことになりますので、次に重要なのは素晴らしいあらゆる種類のアプリをストレージ出来るようすることです。最初の6か月から12か月はこういったシステムを理解し、始める、またはプラットフォームでどういった事が可能か見てみたいとか、ユーザーと試行錯誤したり、初期のプロトタイプやバージョンを作りたいと考えている、あるいは膨大なデータを持っているグループがコスト削減やデータの資産を検証したりしたい若いディベロッパーにとっては本当に最高の時だと思います。こういった人たちはネットワークでいろいろ試してみるのはいいことだと思います。

マイナー側の立場から考えるファイルコインマイニング

Juan Benet

上記はクライアント側の考えですが、一方のマイナー側について話したいと思います。これは本当に楽しみな一年になりました。ネットワークに参加して、ストレージする容量を提供し、環境を整えて、ファイルコインをどのようにしてマイニングするかを学習して、自分のシステムや設定を最適化して、この6か月から12か月はそういったグループや世界中が始めるのに最高です。

ファイルコイン・マイニングと例えばビットコインとの違いは、ファイルコインは便利なストレージを提供しているので、どこにストレージがあるかが重要で、ネットワークにやってきたクライアントはユーザーがいるいくつかの異なる地方にデータをストレージする選択をするでしょうし、何か悪いことが起きた場合に異なる大陸にコピーはもっておきたいでしょう。アジアに何かのコピーをストレージするかもしれませんし、アメリカに何かのコピーをストレージするかもしれませんし、ヨーロッパに何かのコピーをストレージするかもしれません。

これが意味することは、最初はマイニングの傾向が特定の場所に集まるかもしれませんが、時間の経過と共にユーザーの需要に合わせて拡散するでしょうし、マイナーの存在がいろんな場所へと散らばると思います。それはすごく興奮するような機会だと思いますし、ストレージを提供することで稼ぎたい人やどこかの国でパワーがすごかったとしても特定の地域でトップ・マイナーになれないということはないです。

クラウドに対して肯定派?否定派?IPFSの分散化はプライバシーの問題を解決するのか

Hacker Noon

最後の質問に移りたいと思います。私は2種類の人がいるように思うのですが、クラウドを肯定的に受け止めている人で自分のデータがクラウドにあることが平気な人と後ろの絵を描いた私の妻のようにクラウドを否定的に考えている人がいます。彼女はプライバシーが侵害されていると感じているのでグーグルドライブ、ドロップボックスやワンボックスも使いません。

しかし、IPFSの場合はデータが拡散されているので彼女は支持派になるかもしれませんし、ならないかもしれません。彼女は若いので受け入れるかもしれませんが、もっと古い世代の人はどうでしょうか?彼らが持っているプライバシーに関する質問にはどのように答えますか?IPFSの分散化はプライバシーの問題を解決しますでしょうか?

Juan Benet

いい質問ですね。ここで重要になってくるのは世界を暗号化で埋め尽くすのではなくて、ユーザーがコントロールできる暗号化が存在することです。ユーザーがコントロールできる暗号化が必要です。ユーザーが鍵を持っていて、何を誰と共有するか決められるようにしなければなりません。

そして、サービスやアプリがあなたのデータを見る権限は持っているべきではありません。今日、存在するクラウドはあなたのデータを見る事ができてしまいます。ユーザーのデータが見えてしまうので、そういったシステムを信用するのは難しく、大量データ収集などが世界中で重大なプライバシー侵害を起こしていますので、彼女の意見はとても理解できます。

Juan Benet

プライバシーだけでなくセキュリティも同じです。前も言ったように、私たちは割と平和な世界に住んでいますが、突然政府や悪い組織が他の政府をコントロールしたり、良かったグループが突然悪くなったり、彼らはあらゆるところに設置されているスーパー・スパイ・コンピュータの鍵を盗んで、特定のグループを標的にしたとしたらクレージーな事ですし、気を付けないとそういった未来が訪れるかもしれません。でも、今の時代はコンピュータのプラットフォームをユーザー・ファーストにするシステムにシフトさせる方法があると思います。

ユーザー・ファースト暗号化と考えください。ユーザーが鍵のコントロールができて、コンテンツを誰に見せたいか決められる。これは個人ファイルだけでなく、全てのアプリで可能にすべきことで、人と共有するドキュメント、例えば多くの人とやりとりするグーグルドックのようなものとか、家族の写真や会社のドキュメント等、あらゆるものはアプリの開発者ではなくて、デフォルトで情報を所有する人が閲覧できるようにすべきです。

IPFSを活用したサードパーティの取り組み

Juan Benet

こういった方向へシフトするのは大変な仕事で、そういった方向へ推し進め、必要なテクノロジーの下地づくりをいろんなグループの協力を得て取り組んでいます。例えば、テキスタイルにはいろんな種類のツールをIPFS上に開発していただいていて、テキスタイル・ドレスやテキスタイル・バケツがあるのですが、彼らはIPFSにデータをストレージするアプリを開発する為にコントロールの問題に取り組んでいます。このコントロールをアプリ開発者に渡すのではなく、コントロールを暗号化してユーザーの手の中に入れるようにしています。

全てが機能するようになって、アプリを使い始められるようになったら、これは非常に重用なシフトになりますし、情報やデータをクラウドに上げることが、他人にデータを見られる心配がなくなります。あと情報を拡散するだけは不十分で、一箇所に集めないようにするのも大事ですし、ユーザーだけが鍵のコントロールできるように暗号化する必要があります。

テクニカルな側面について

Hacker Noon

なるほど、洞察力がありますね。妻の反応が楽しみです。では、バトンをブラボ(Vasa)に渡してテクニカルな側面について話を進めたいと思います。

Vasa

20、30年前にインターネットがまだ普及していなかった頃にプライバシーの侵害で警察を呼ぶほどのことはなく、部屋にいれば安全でしたが、今は壁に囲まれていても多くのデータが漏洩していて、20、30年前であれば誰かがスパイしていれば容易にわかりましたが、現在はデータが盗まれているという事実すらユーザーにはわからないのは本当に問題です。

ファイルコインについてだいぶ話をしましたので、IPFSの話をしましょう。数か月前にIPFSはバージョン0.5をリリースして0.4と0.5の比較について書きたかったのですが、ユーザー体験または開発者の体験を向上させるのでしょうか?

コンテンツ発見・配分など重要なパフォーマンスを改善

Juan Benet

0.5のリリースは確かに1か月程前にありました。メインだったのがパフォーマンスの向上で、いろんなチャンネルを通じて入ってくるユーザーのフィードバックに焦点を当てました。アプリの開発者や個人のユーザーやインフラのプロバイダー、IPFSを様々な方法で使っているいろんなコミュニティが常にGithub(ギットハブ)や統計で情報を提供してくれています。一番多くの要望を頂いたのが、コンテンツの発見と配分まわり全般の重要なパフォーマンスの改善でした。

ネットワークの拡張の要望もたくさんありましたので、30倍ぐらいサイズを拡張して、それによって小さい規模でうまくいっていたことが大きな規模では壊れ出したので、コミュニティを集めて大量の箇所で改善と最適化をする必要に迫られました。コンテンツの追加、コンテンツの発見、コンテンツを取ってくる等を改善しました。

Web3.0時代の速度感に不安はない

Juan Benet

次に集中的に取り組んだのが、コンテンツを発見してエンドユーザーに提供するスピードの改善でHTTPからIP高速ゲートウェイを通しての動きや評価基準が確認できて、コンテンツの発見または提供までのスピードを確かめることができました。10数秒かかっていたところを特定のコンテンツに対しては平均6、7秒まで落とすことが出来て、今ではより繋がるようなって1、2秒まで落とす事に成功しています。

ここまでくれば、Web2.0の世界で期待されるぐらいの速度感は得られています。CDNのスピードまではいっていませんが、近づいていて300ミリ秒から1秒ぐらいのターゲットのS3のスピードぐらいのところを目指しています。この0.5のリリースはいろんな部分の速度をあげるのが目標でしたし、多くの箇所といくつかの機能の改善が出来ましたし、ファイル転送なども改善しましたので、大変満足しています。

また、多彩な機能が盛り込まれています。TLSをIPFSへもってきてサポートして、いますし、サブ・ドメイン・ゲートウェイの改善など、たくさんのUXの改善やコネクションやピア・セットを管理して良くするなど、要望はいろいろ頂いていました。0.4から0.5までの間にかなりの期間がありましたので、要望が蓄積して反映させることが出来ましたし、良い結果を得ていますので、0.5へみなさんアップグレードして改善を楽しんで欲しいと思います。

DHTとIPFSのスピードに関してどれぐらいの改善が見込まれる?

Hacker Noon

詳細に入りますが、DHTとIPFSのスピードに関してどれぐらいの改善が見込まれるでしょうか?

Juan Benet

コンテンツ発見にDHT(分散ハッシュテーブル)を用い始めたばかりで、DHTで始めるのはいいと思いますが、大きな規模には向いていませんので、最初からDHTは別のコンテンツ発見や書き込みの機構に入れ替える予定です。今はDHTの良さを引き出す後半の段階にいるのですが、構造上ノードを見つける為にログやホップをテーブル上でやらなければならないので、ネットワーク内のノード間をいったりきたり、遠くへいかないといけない場合は一つのホップで10から100ミリ秒の遅延が起きていることに気付くかもしれません。ネットワークが何百万のノードで構成されている場合、10から13種類のホップでどんどん積みあがっていくので、DHTは秒単位になってしまいます。

例えば、クラウドのシステムに近いような機構でインデックス・サービスを使ってポインター情報を集めるような方法で誰が何を持っているかを特定するやり方を考えていて、コンテンツの配分は1秒以下になるようにしたい。DHTからこういった機構へシフトするのは時間と労力がかかりますし、まだよくわかっていない部分は多いけれども他のシステムでは得られない弾力性がDHTにはあるので、いろんな提案や可能性がある興味深い段階に来ています。どうなっていくかはコミュニティの反応などを見つつ進めたいと思います。

あと今後10万、100万ノードをかき回す高速なDHTが現れて、1秒以下の1回の配分に近い状態が実現すれば話は別ですが、こういった事は今のDHTはどれも出来ませんし、それが出来なければDHTが最適とは言えないでしょう。

IPFSのパッケージファイナンスに焦点当てた目的とは?

Vasa

2019年にIPFSはパッケージファイナンスに焦点を当てました。この目的はなんでしょうか?

Juan Benet

いい質問ですね。確かに私たちはパッケージマネージャ周りを志向しました。大きなバイナリ・アセットの使用とIPFSに良い配分モデルをもたらすと思ったので、使用事例に合わせてパフォーマンスの改善をしましたし、異なるパッケージマネージャと関連づけましたし、いろんな異なるパッケージマネージャが必要とする使用事例を分けてみました。

たくさんの種類のパッケージマネージャがあるので、例えばソフトウェアイブラリーやコードパッケージマネージャ、リナックス分配の為のバイナリパッケージマネージャなどもありますし、バイナリを動かすだけのパッケージマネージャのバージョンであるアプリストアもありますし、また違うタイプのパッケージマネージャであるゲーム配分システムもありますし、様々なものがあります。

いろんなグループの様々な研究を実施し、グループに対して非常に重用なパフォーマンスの改善に優先順位もつけました。これは偶然にもネットワークの成長と足並みが揃っていたので、ゴールには近づきましたが、完成とまではいっていません。

Juan Benet

そこで気づいたのが、パッケージマネージャに必要な改善はコンテナの配分に必要なことと同じで、今やっているパッケージマネージャ周りのことはコンテナの配分部分にも貢献しています。そこで得られた結果はグループの為の重要なパフォーマンス改善と、こういったフローを作る為に重要な試運転やテストでした。

でも多くのパッケージマネージャを導入する為の機能が欠けている気がしますので、必要なのは実は今ニックスと一緒に取り組んでいる内容で、配分モデルとパッケージマネージャをよく理解している人たちが前進させる為のツールを作成する必要があると思います。

実用的なネットワークの構築を目指す

Juan Benet

この隔たりを埋めたいと思っていますし、コミュニティの情熱が動かしている部分がありますので推し進めると同時に反対側から引いてもらう必要もあります。こういった配分を欲するグループと一緒に働き、彼らも私たちと働いて実現させようという仲間がいることに興奮していますので、今のやり方は合っていると思います。そして2020年に多くのフィードバックが集まってきましたので、パフォーマンスに集中しようと思いました。

多くの異なる容量でパフォーマンスを改善させ、流れを改善しましたし、ネットワークのテストをすることに大きな問題が発生した時はテスト・グラウンドというこれだけをテストする為のプロジェクトも始めましたし、地域間で何千ノードもあるネットワークでテストして現実的なネットワーク状態を見出そうとしました。

ピア・トゥ・ピア(P2P)をテストするプロジェクトを作ってテスト・グラウンドと命名して、誰でも自分のシステムをテストするのに利用できます。今ある改善点を導きだす為に頻繁にテスト・グラウンドを利用しましたし、今テストを始められる地点に辿り着くまでに大変多くのことをやらなければなりませんでしたし、ユーザーの状態に合わせて機能や最適化がうまくいっているかどうか見る必要がありました。

Protocol Labsとネットフリックスのコラボレーション

Vasa

Protocol Labsはネットフリックス(NETFRIX)と2019年辺りから仕事していると思いますが、このコラボレーションによって何か改善点はありましたでしょうか?

Hacker Noon

IPFSはHTTPプロトコルに取って代わる壮大なビジョンをお持ちですが、あるいは対等に渡り合おうとしていますが、OperaのIPFS統合はどこまで進むビジョンを持っていますか?

Juan Benet

もちろんです。IPFSの開発者ツール体験を改善する方法を模索する為の素晴らしいコラボレーションをして、ネットフリックスのような企業の方法から学ぼうと思いました。本当に彼は素晴らしい仕事をしましたし、このことについてはブログがあるのでそちらを見ていただければと思いますが、要点としましては、コンテナイメージの配分スピードを上げる為にピア・トゥ・ピアネットワークの配分モデルを見て、それをイノベーション・センターで使いました。

これはパッケージマネージャやVMイメージや似たものにも使えます。昔にもそういったシステムは存在しましたが、そこでやりたかったのは特定の使用事例の中でツールの利点を確認することで、大変便利でしたし、クラウド・ポストでベンチマークを見ることができます。

実用化に向けた改善点もある

Juan Benet

Docker hub(ダッカー・ハブ)とネットフリックスの解決策であるもっとも厳しいレジストリを試したらダッカー・ハブよりもっと速かったですし、でも今度はエドガーや他の人たちが作ったピア・トゥ・ピアの解決法の方が優れていました。

良かった点はこれが自ら改善をもたらしました点と、私たちの方でも様々な改善をしたので、グループに開発ツールの使用事例をみていただいてテストをしたのはIPFSのコミュニティとネットフリックスやその他のグループ全員にとってWin・Winの状況だったと感じています。

まだ、色々試したり、フローを最適化したり、状態の良さを確認したりしますので、ここ一年でどこまで実用に近づけるか見てみる必要はありますので、ネットフリックスやその他のグループが実際に使用するようになるまでには時間がかかると思います。

Juan Benet

どうなるかわかりませんが、すごく期待していますし、楽観的に捉えていますし、非常に興味深い分野だと思います。観客やハッカーの方で開発ツールに興味をもっていて、配分フローをもっと速くよくしたいと、これまでパッケージのインストールでしばらく待たなければならないことにイライラしたり、自分のパソコンまたは近くのパソコンに既に入っているパッケージをダウンロードしようとしていて、何故遠くの方へアクセスしたり、近くにあるのに大きい容量のダウンロードをしなければならないのかとイライラしたことがあるのではないかと思います。

この効果で配分をもっと速くするができるのですが、いくつか機能を作り込まないと達成できないので、いろいろ試してみるにはいい出発点だと思います。

ネットフリックスがアプリにIPFSを使ったら?

Vasa

今話された内容の延長線上で、例えば携帯にIPFSのノードをつけたとして電力の消費は大変でしょうけれども、例えばネットフリックスがアプリにIPFSを使ったとして、どういったチャレンジがあると思いますか?

Juan Benet

必ずしも、電池消費が激しくなることはないのではないか思います。そこで何が起きているかといいますと、初期の実験ではIPFSのデスクトップ配分を使い、多くのコネクションや暗号化ハンドシェイク等を使って直接携帯につけたけれども、確かに携帯用に最適化されていないので、きちんと機能しないと思います。Open bazaar(オープン・バザー)がHaven(ヘーベン)またはAdios(アディオス)の自らのプラットフォームの為に作ったものを見た方がいいと思います。これらのものはフルのノードを使いますが、それなりによく動きますし、アプリは滑らかですし、ピア・トウ・ピアのアプリだとは全然気づかないですし、電池の減りが激しいということはないです。最近一年で彼らが可能にしてきたものは素晴らしかったですし、重要な最適化や改善の賜物と言えると思います。

動画コンテンツとの愛称は抜群!しかし分散化の課題も

Juan Benet

メディア配分に関しては動画配分へのアクセスはもっともっと良くなると思いますし、使用事例とぴったり合います。既に似たようなことをやっているグループが存在しますが、どういったものが開発されるか長い目で見る必要があります。ネットフリックスなどのグループが使用かどうかに関しては、開発ツールにまずいくと思いますので、ネットフリックスが実験する予定はないと思います。

今はむしろ開発ツールと開発者のフローを承認するところに彼らの成功はあると思います。将来的に移行する可能性はありますし、アプリや動画配分への採用はまだ数年先の話のような気がします。ネットフリックスは配分フローの部分で15年近い最適化の歴史があることを検討しないといけないですし、コンテンツ配分をする為に世界中に大規模な艦隊のような機械を配備しているので、それと競争するのはかなり難しいでしょう。

Juan Benet

IPFSが輝けるのはそういった出来上がったシステムを持っていない新しいグループに対してであって、そういったところで暗号通貨のインフラが手助けしてくれますし、例えばIPFSでアプリを書いたとすれば、IPFSで動画アプリか何かを配分して、場所がたくさん近くにあればコンテンツをストレージしてとても素早く提供できます。

これは私たちが目指している世界で、構築しょうと努めていますが、辿り着くまでにはだいぶ時間がかかると思います。

IPFSのOperaへの統合は目標に近づくものだったのか?

Vasa

素晴らしいです。IPFSはHTTPプロトコルに取って代わる壮大なビジョンを持ちで、または対等に渡り合えるところを目指していると思いますが、IPFSのOperaへの統合は目標にどれぐらい近づけてくれましたか?

Juan Benet

そうですね、ブラウザに採用されるという素晴らしい結果を得ました。最新のOperaやその前はBraveでしたし、ChromeやFirefoxの為の拡張もありましたが、Operaとの統合という素晴らしい結果を得られた事によって2億人近い人が、他に何もインストールしなくともブラウザからネイティブに直接IPFSを使うことができるのは、最高の改善だと思います。当然、2億人が使用していることを意味するわけではありませんが、ブラウザに備えられたことで、ネット上にIPFSコンテンツのリンクを見つけたら、今後は見ることができるので、この先より大きな主流のブラウザーに進出する為の非常に大きな進展だと言えます。

Juan Benet

Operaがしてくれた素晴らしい仕事には大変興奮していて、次のステップとなるのはその他の多くのブラウザーに採用されてフルノードを直接ブラウザで走らせる事です。

もっと時間と労力が必要になってきますが、すごいと思うのは自分たちがかなり早く今の位置まで来られたことで、ウェブコンテンツを配分できるプロトコルを構築するのは非常に難しく、プロトコルの開発の歴史はこういった事をしょうとした多くのシステムが存在しますが、SCTPとかコンテンツの配分を改善しょうとしましたが、できなかったです。

Juan Benet

このように採用されて、BraveやOperaなどの主流のブラウザーがIPFSを採用してユーザー向けに全てのコンテンツを可能にしたのは、自分の観点で考えると10から15年は懸かったであろうと思うのですが、5年ぐらいの年月はブラウザー開発の年表で見たら超高速ですし、これによって盛り上がってくれて他のグループも採用してくれるようになって、ブラウザーに採用されるようになると嬉しいです。BraveやOperaなどウエブのファーストクラスな住民が本当に最高の仕事をしてくれたと思います。

究極の最終目標は?

Hacker Noon

そろそろ一時間が経過しました。一つ小さな質問に答えていただきたいんですが、究極の目標はどういったものでしょうか?

Juan Benet

どのプロジェクトについてでしょうか?IPFS?ファイルコイン?全部?

Hacker Noon

あなた自身の究極の目標です。

Juan Benet

僕はIPFS、ファイルコインとP2Pに超集中していますので、それぞれのプロジェクトはそれぞれにロードマップと軌跡をもっていますし、ところどころ交差しますが、それぞれの進路を持っていて、その成長にすごく注力しています。現在IPFSはアプリ開発周りの仕事、プライベートコンテンツやこれまで話してきた仕事をしたり、採用のスピードを上げたいと思っていたりします。

Juan Benet

Web3.0の世界との裂け目を渡ってメインストリームへ行き、IPFSはWeb3.0スペースで使用されていますが、Web3.0を拡張していずれはWeb2.0より大きくしたいですし、大変な時間がかかりますので、私たちの大きな目標はどうすればディベロッパーに始め易くできるか?どのようにすれば大規模なアプリにこういったツールが使い易くなるか?作成しなければならない本当にたくさんの重要な開発ツールがありますので、開発されている素晴らしいアプリをどのようにサポートして成長させられるか?

あとはテキスタイルやフリークなどの開発ツールをいかにしてサポートして成長させられるか、そしてピニングサービスやネーミングシステムなどのIPFSを取り囲むビジネスやサービスのいわゆる生態系全体について考えています。

IPFSは身近な存在になる

Juan Benet

またウェブサイトを作成したりIPFSコンテンツを指し示したりするのは本当に簡単になっていて、本当にびっくりする程簡単で、今では暗号化されたドメインを手に入れるのは超簡単でした。普通のドメイン名より簡単で、先日ウェブサイトを作っていて普通のDNSを使うより暗号化されたドメインを手に入れる方がよっぽど楽でした。時代の変化が感じられる素晴らしい例だと思いますし、IPFSに関してはこういう感じです。

ファイルコインに関してはメインのアプリをローンチさせることで容量を構築し、最初のユーザーや採用者の波によって勉強させてもらって、システムとプロトコルを改善し、長い目で拡大したいと思います。

次の世代はブロックチェーン&IPFSは一般的な存在に

Hacker Noon

ありがとうございました。600万人超のHacker Noonファミリーや購読者はあなたの多運を祈っています。次の世代は自分のプライベートキーが使いこなせてより適応するのではないかと思います。

私の世代は何回かプライベートキーをなくす経験でもしなければブロックチェーンの事はよく理解していませんが、次の世代はそういった問題はないでしょう。お二方にはこの私の世代より次の世代がより楽しめるように任をもって取り組んでもらいたいです。

Juan Benet

次の世代は今の世代より確かに楽しみが多くなります。それはユーザーラーニングの問題ではなく商品の問題なので商品を改善しないといけないと思います。最後にコミュニティ全体にいくつか考えていることを伝えたいですが、もしあなたがハッカーで次の新しいプロジェクトを作ろうと思っている、またはいいアイデアを探している場合、私たちのコミュニティ、Github(ギットハブ)、Matrix(マトリックス)、Slack(スラック)を訪ねてください。

それぞれのプラットフォームに部屋を用意していますので、立ち寄っていただいて話したり、かっこいいアイデアが転がったりしますし、もしコミュニティがものすごく欲しいアイデアだった場合は報酬を受け取れる場合もあります。みんなの為にテクノロジーをあなたも改善していただくことが出来て、コミュニティが本当に必要としていることならば、お金を稼ぐこともできます。

あと宣伝になりますが、7月にハッカスロンを開催して、初期ユーザーと初期のファイルコイン導入にフォーカスしますが、チュートリアル、ワークショップやプレゼンなどラーニングの為の素材やコンテンツがたくさん用意されていますので、始める人やたくさん学びたい人向けです。月末にハッカスロンの勝者への賞金額がわかりますし、Web3.0、暗号化などにすごく興味があって構築し始めているなら、是非参加してみてください。

Hacker Noon

素晴らしい。コミュニティ全体と共有したいと思います。そろそろお別れの時間です。Hacker Noonに来ていただいて、有難うございました。良い一日をお過ごしください。

Juan Benet

ありがとうございます。

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