フェイスブックのリブラ、大幅な方針転換認める

フェイスブックのリブラ、大幅な方針転換認める

米大手SNSフェイスブックが主導する仮想通貨「リブラ」を巡り、運営団体のリブラ協会が4月16日、発行計画の見直しを決めた。各国の規制当局や中央銀行の懸念を踏まえ、リブラが複数の法定通貨の裏付けによるステーブルコインだけではなく、米ドルなど単一資産を裏付けとしたステーブルコイン開発を加えることを認めた。年内の発行を目指す。

各国の金融監督当局は、国境を跨いで流通が見込まれるリブラが先進国、後進国問わず、中央銀行の力を弱めることになりかねないとして警戒を強めていた。運営団体のリブラ協会は、そうした懸念に対応する形で当初の計画を発表。各国の法定通貨ごとに価格が連動する個別通貨連動型の複数のリブラを発行する計画だとした。具体例は、ドルだけを裏付けにした「リブラドル」のほか、「リブラユーロ」や「リブラポンド」を挙げた。計画変更に伴い、ホワイトペーパーも以下の文言が追加された。

「我々は、(これまでの)リブラに加えて単一通貨のステーブルコインも開発することでリブラネットワークを強化する。まずは、リブラに含まれるいくつかの通貨(例えば、リブラUSDもしくはUSD、リブアEURもしくはEUR、リブラGBPもしくはGBP、リブラSGDもしくはSGD)で始める」

新たなホワイトペーパーは、「リブラは複数の単一通貨のステーブルコインから切り離されたデジタル資産になることはない」とし、「リブラはリブラネットワークにおける複数の単一通貨のステーブルコインの一部の合成からなるデジタル通貨になる」と述べた。

昨年6月に発表した計画では、複数通貨のバスケットに連動させるリブラを計画。その後、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」などと固定させる形で、個別のバスケット比率を50%を米ドルとし、残るはユーロが18%、円が14%、ポンドが11%、シンガポールドルが7%になるとしていた。当初は6月末までの発行を計画していたが、現在は11月中旬〜年末までの発行を目指すという。