JPモルガンCEO、「仮想通貨リブラはいいアイディアだが、決して立ち上げることはできない」
米国最大手の投資銀行JPMorgan Chase(JPモルガン)のCEOであるJamie Dimon氏は、フェイスブックが構想する仮想通貨Libra(リブラ)について、「きちんとしたアイデアだが、決して立ち上げることはできない」と話していることが明らかになった。同氏がリブラについて発言した背景には、最近の仮想通貨リブラの発行団体であるリブラ協会からの有力企業らの脱退が大きく関係してるようだ。
しかし、金融機関のグローバルな業界団体であるInstitute of International Financeが開催した、今回のカンファレンスにてDimon氏は、どのような理由でリブラが実現しないのかを具体的に説明することはなかった。
リブラ協会は現在、仮想通貨の発行はもちろん、存続できるかどうかという状況にまで追い詰められている。このらの要因として挙げられているのが、リブラ協会への有力企業らの脱退である。仮想通貨リブラのホワイトペーパーの発行時、現時点でパートナー企業として参加しているとされていたVisa(ビザ)、Mastercard(マスターカード)、eBay(イーベイ)、Stripe(ストライプ)、Mercado Pago(マーカドパゴ)の計5社が、リブラ協会から脱退すると発表された。これらの企業の脱退に関する影響力は大きく、ユーザーはもちろん規制当局らの信用を失う形となった。
JPモルガンは、リブラ協会への参加を断っていた
また今月18日、JPモルガンおよびゴールドマンサックスが、6月に公開された仮想通貨リブラのホワイトペーパーが発行される以前に、リブラ協会への参加を断っていたということが明らかになり、JPモルガンは現状のリブラ協会に悲劇を予想していたのかもしれない。
しかし今年2月、JPモルガンは決済業務変革のためアメリカ初となる仮想通貨「JPMコイン」の開発を発表している。このJPMコインは、米ドルに価値を裏付けされた「ステーブルコイン」として発表されており、通貨の発行や構想については、仮想通貨リブラとほとんど同じである。発表の際には「現在はプロトタイプ」であることを明確にしており、発表時にはJPMコインのテストに成功したとコメント。これらの開発の進捗には注目が集まっている。
米国の大手企業(フェイスブック・JPモルガン)らが、仮想通貨市場へと参入をしているものの、実現は難しい状況にある。