金融大手HSBC、2兆円以上の資産をブロックチェーンで追跡|来年導入目指す
世界最大級のメガバンクであるHSBCホールディングは来年3月までに200億ドル(2兆2000億円)相当の※1私募記録をブロックチェーン基盤のカストディプラットフォーム「デジタル・ボールト」に移行させる計画を進めていると、ロイター通信が今月27日に発表した。
本プロジェクトでは紙ベースの情報をデジタル化することで効率性をあげる狙いと記録の改ざんを防止する形で保管することを目的にシステムの構築を目指している。
HSBCは、2020年の私募の国際規模での総額が2017年から60%増となる7兆7000億ドル(約843兆円)に達すると見込んでいることから、事業に新規参入をすることで、その有用性を検証しようとしているようだ。
現在、世界的な低金利により投資家たちは悪環境の中、ハイリターンを求めるしかなく、負債と株式の私募の需要が著しく増加傾向にあることが問題視されている。
このような社会背景の中、より効率的なプロセスで書類の管理やワークフローを構築必要とされている。ブロックチェーンで管理することのメリットしては下記のとおり。
- 改竄されない形で情報を記録できるため、複数の組織間でのコンソーシアム形成時に安心して情報を共有できる。
- 従来の高額な外部とのAPI接続費用のコストが削減できる。
- スマートコントラクトなどの自動プログラムを用いれば、言語の壁を越え、作業をシームレスに実現できるため、作業効率の向上が期待される。
市場自体は、米国および英国の保険会社からの私募、ならびにアジアおよび中東からの関心が高まっているようであるが、実際にブロックチェーンの導入効果が分かるのは最低1年半ほどの期間が必要であると考えられており、すぐに効果を実感するのは難しいようだ。しかし、ブロックチェーンの歴史が仮想通貨から始まったように金融とブロックチェーンの相性が高いことは社会で既に証明されていることから今後のブロックチェーンを基盤とした金融システムの構築は時代の経過と共に進んでいくだろう。
※1私募・・不特定多数の投資家を対象に勧誘を行う公募に対して、特定の要件を満たす機関投資家や金融機関などを対象とした「適格機関投資家」と呼ばれる投資家を対象とした勧誘方法。