カンボジア国立銀行が日本企業と連携しデジタル決済システム「バコン」を開発|2020年早期に導入

カンボジア国立銀行が日本企業と連携しデジタル決済システム「バコン」を開発|2020年早期に導入

カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行が、日本のブロックチェーン開発企業「ソラミツ」と連携してデジタル決済システム「バコン」のテスト運用を進めており、2020年早期に導入することがわかった。同システムは、中銀デジタル通貨「バコン」を発行し、少額のリテール決済から高額の銀行間取引までソラミツのブロックチェーン「ハイパーレンジャーいろは」で一本化し、国内全体で決済業務の簡素化と低コスト化を図る。

カンボジアは、リエルと呼ばれる法定通貨があるものの、金融・商業活動で米ドルが広く使われており、国内経済がドル化している。経済が他国資本の通貨に支配されることは、資金の流出などに繋がる可能性があり、カンボジア国立銀行は今回、バコンの開発によって、従来の金融政策や銀行システムを維持しながら、自国通貨の強化や金融政策力の向上を図る狙いがあるとみられる。

バコンのシステムは、カンボジア国立銀行が主体的に運営。同銀行が各銀行にバコンを発行し、各銀行が利用者にバコンを間接的に発行する仕組みを整える。利用者の口座管理や本人確認業務は各銀行が従来通り、代替する。

利用者は具体的に、リエルや米ドルを送金先を銀行口座番号を知ることなしに、相手の携帯電話番号宛に直接送金したり、QRコードをスキャンして決済・送金したりすることができるという。

プロジェクト側のメリット

一方で、事業者にとっても利点がある。従来の企業間取引では、1日に2回のバッチ処理で決済を行い時間と費用がかかっているが、バコンのトークン型のデジタル決済では、そうした行程を省くことができ、コストの減少とリアルタイム決済が可能になる。資金清算や振込指示、後日の資金確認も不要になるという。

世界銀行の統計によると、カンボジアの15歳以上の78%が銀行口座を保有していない一方、スマートフォンの普及率は150%を超える。そのため、スマートフォンのみで銀行サービスにアクセスできるバコンでは、農村地域など地理的条件の不利や銀行口座の有無などあらゆる諸条件にかかる問題を解決し、あらゆる人でも利用できるという。

正式導入に受けたテスト運用は2019年7月から開始しており、すでにカンボジア国内最大の商業銀行を含む9つの銀行や決済事業者と連携している。すでに数千人のアクティブユーザーがおり、世界初となるデジタル通貨の実用化は確実。現在進行中のプロジェクトで、バコンを活用したクロスボーダーシステムなど、次なる先進事業の展開が待たれる。