マイクロソフト社、エンタープライズ向けトークン発行プラットフォームを開設
世界最大手のソフトウェア企業マイクロソフト社が11月4日、「Azure Blockchain Service」で利用可能な「Azure Blockchain Tokens(ABT)」を発表した。同社の発表に関して、マイクロソフトのチーフ・アーキテクトであるマーリー・グレイ氏は同システムについて下記のように発言している。
「マイクロソフト(Microsoft)は、クラウドでのブロックチェーン・トークン作成をプリンターの接続と同じくらい簡単にすることを目指している。」
プリンターをPCに接続する場合、これまではプリンターごとにドライバーをインストールして使用するという面倒な処理をしなければいけなかったのだが、現在は購入後ネットワークに接続するだけで稼働する。トークン設計も、かつてのプリンターの接続問題と同じ問題が壁になっているのである。
現在ABTのプラットフォームで生成されるトークンはTTI(Token Taxonomy Initiative )が定めるトークン仕様を参考に設計されている。TTIの企画に参画する企業は、マイクロソフトをはじめに、インテル、IBM、JPモルガン、R3など名だたる企業が名を連ねている。
ブロックチェーン業界が抱える問題
昨今ブロックチェーン業界で問題になっている事例として、ERC20の規格を元にしたICO、IEOなどのトークン発行などにより、発行トークンの規格が統一されずに流通することで、プラットフォームごとのインターオペラビリティが確立されておらず、ユーザビリティは高くない状態であった。
ABTプラットフォーム上ではTTIの規格に沿って主に4タイプのトークンを作成することが可能になる。用途としては、石油やエネルギー資源、アート作品や航空券の手配などに紐付けた活用が期待されている。TTI議長のグレイ氏はWEB2.0において企業間のインターオペラビリティに関して下記のような発言をしている。
「例えば、IBMブロックチェーン・プラットフォーム(IBM Blockchain Platform)がIBMクラウド(IBM Cloud)上で運用されるのは当然。だがグレイ氏は、クラウドとネットワークにおいては、人々が必要とするインフラに応じてこれらのトークンのタイプを「移植性の高いもの」にすべきだ。」
ABTをハブに様々なプラットフォームとトークンが結びつけば、これまでのプラットフォームごとの対立や、ユーサビリティ面の問題を解決することが可能になるのではないかと考えられる。
また、効率的に相互運用性を高めることがビジネス面におけるブロックチェーンの醍醐味といえることから、このようなユースケースがより社会に浸透していくことに期待したい。
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