テザーは318アカウントで、80%のUSDTトークンを保有

テザーは318アカウントで、80%のUSDTトークンを保有

発行されているテザー(USDT-OmniとUSDT-ERC20)のうち約80%は、わずか318アカウントが保有していると、市場データ提供企業Coin Metricsによって明らかにされた。この情報は2019年8月8日、ブルームバーグによって公開され、これによりテザーの「極少数のクジラ」がビットコインの価格を操作する危険があると警鐘を鳴らした。

ビットコインのクジラ、細かく言えば、100万ドル(約1億円)以上保有するアカウントは2万以上。対して、テザーでは100万ドル以上保有するアカウントはたったの318。このアカウントは、ブロックチェーン上のアドレスを意味するため、1人で複数のテザーアドレスを管理しているクジラもいるだろう。

Coin Metricsの共同設立者Nic Carter氏によれば、テザーのクジラには、Bitfinex(テザー社が運営)やバイナンスなどの世界大手取引所が含まれているという。他にも、人民元とテザーを交換する必要がある中国投資家の需要に応じるブローカーの存在も。それを踏まえ、ビットコインの価格操作に対して各メディアは神経質になっている。

テザーゲーム?

2017年末のビットコイン価格高騰の陰にはテザーの陰謀アリと、テキサス大学のジョン・グリフィン教授は論文に書いている。2019年に入りビットコインの価格はまたしても高騰したが、それは仮想通貨リブラの影響だけだったのか。

憶測でしかないが、理由はいくつか挙げられる。テザー社が、テザーを売って得た米ドルでビットコインを買い漁っているから価格が高騰する・機関投資家が大量にテザーを購入して、そのテザーでビットコインを購入するから価格が高騰する…など。

テザーの影響力は本物か?

テザーが大量に発行されると、ビットコインの価格が高騰する…実際にはどうなのか、テザーの時価総額とビットコインの価格を確認してみる。
4ヶ月もの間約4000ドル以下だったビットコインが、今年4月4日に(わずか2日で)5000ドルを超えた後、それまで時価総額が横ばいだったテザーが大きく動いた。4月9日から徐々に発行枚数を増やし、4月26日には1.6倍にも増加した。このテザー増加期間中、ビットコインの価格が高値圏に張り付いたままだったのが興味深い。
そして5月に入るとビットコインの高騰が始まる。まるで大口投資家のビットコイン購入用資金の準備が整うのを待っていたかのようだ。その後、テザーは発行枚数を増やし、現在はビットコイン高騰前の2倍の量に。

ビットコイン(BTC)高騰で年初来最高値を更新中|一時57万円付近まで推移

2019.04.02

こうしてみると価格操作や市場改ざんの有無は定かではないが、大口投資家の動きに連動する可能性もあるため、興味深くはある。なお、テザーはこの1ヶ月半ほど発行枚数が横ばいになっている。ビットコインの価格は調整段階に入ったのかもしれない。