ブラジルの税務当局が仮想通貨取引の報告義務付け
ブラジル連邦歳入庁(RFB)は、仮想通貨取引に関するガイダンスを5月3日付の官報で公示し、同国の法定通貨3万レアル(7600米ドル)を超える取引はRFBに報告する義務があると定めた。この新規則は8月1日に発効した。ブラジルはラテンアメリカで最大の仮想通貨取引高となっており、4月には月間10万BTCに到達。国の調査によれば、仮想通貨市場の時価総額は2018年に80億ドルを超えている。
こうした状況を踏まえ、ブラジル政府は税収増のほか、マネーロンダリングや租税回避といった違法行為防止の手段として、RFBへの報告義務を定めたとみられる。新規則は個人、法人、仮想通貨仲介業者が対象で、売買や寄付、入出金などあらゆる仮想通貨関連取引を含んだ毎月の報告を翌月の末日までにすることを義務付けた。
規則に従わなかった場合、政府は対象者に対して制裁措置を行う。取引が未報告だった場合には、罰金は100~1000レアルを課すうえに、取引合計額の1.5~3.0%のペナルティとして徴収するという。
6月には、ブラジルの4つの主要金融当局が、仮想通貨業界に対する規制当局の理解を深めるために、金融とブロックチェーン技術の規制サンドボックス制度(規模・範囲を限定したうえで、各種規制に引っかかる一歩手前の状態で実証を進め、影響を評価する制度)を提案している。
日本は海外取引所で3000万以上の取引をした場合に報告が必要
財務省は2018年5月、3000万円の仮想通貨取引をした場合に財務大臣への報告を必要すると発表している。
報告義務の策定は、海外への資金流出に伴う課税逃れの取り締まり強化が背景にあるとされ、具体的な取引に関しては、海外の取引所で1回3000万円の取引をした場合や、海外にすむ友人に3000万円以上の送金をした場合などが、報告を課される取引に該当するとみられる。
報告義務に従わなかったり、嘘の報告をしたりした場合は、6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が課される。なお、国内の仮想通貨取引所で取引した場合は対象外となっている。(小村海)