中国でマイニング禁止となるのは決定的か
中華人民共和国国家発展改革委員会(NDRC)※が、仮想通貨のマイニング禁止を検討していることが明らかになった。
※中華人民共和国国家発展改革委員会は、中国国務院の行政部門。経済のマクロコントロールなどを担う。
中国の”仮想通貨”に対する包囲網はさらに強くなるかもしれない。
NDRCが8日に公表した資料のうち、当局が制限及び禁止を望む産業リストの中に仮想通貨のマイニングが含まれていたようだ。
草案という位置づけがなされているようだが、これまでの中国の仮想通貨に対する規制の経緯を考えれば、「マイニング禁止」に関しても、その方針はゆるぎないように思える。
大手マイニング業者が多数存在する中国で、マイニングが本格的に禁止となれば、仮想通貨業界全体に大きな影響を及ぼすことになるかもしれない。
3年前までは、「仮想通貨のマイニング」と言えば、中国が第一に連想されただろう。
ただ、中国全体で活発な活動がなされていたわけではなく、その主要地は四川省や雲南省などの限られた地域であったようだ。これらは、電気代や土地代が安く、税制面での優遇措置が取られていた地域でもある。
しかし、政府が仮想通貨に対する規制を強めて以来、マイニングが禁止となっていない状況下であっても、中国におけるマイニング環境は変わりはじめていた。
電気料金の優遇措置の廃止など、マイニング廃業への圧力も強まっているようで、マイニング企業は新天地を求め、より電気代が安い国へと移転する動きも見られる。
中国がマイニングを規制する理由としては、やはりかねてから存在する「資本規制」が挙げられるだろう。
マイニングの報酬はビットコインで支払われる。そして、中国国内でマイニングを行い、ビットコインとして得られた報酬も結果的には中国国外へ移ってしまうという産業構造となってしまっているのが現状のようだ。
また、中国では、石炭発電が主となっている。マイニングには膨大な電気を使用するため、資源の無駄となっているなどの指摘もあり、環境問題が議論の中心となることも多い。
“ブロックチェーン技術” に対しては積極的な姿勢も
一方で、中国のブロックチェーン技術に対する姿勢は積極さを増している。
3月末には、中国規制当局から認可対象となるブロックチェーン企業として、テンセントやアリババ、などの大手IT企業がリストアップされていた。
※現在の中国では、ブロックチェーンの商業利用には中国規制当局の認可が必要となっている。
また、このリストには2つの仮想通貨プロジェクトも含まれていたようだ。
さらに、中国は、ブロックチェーン・プロジェクトの数が世界一という状況にある。業界を牽引しているという見方もできるかもしれない。
資本規制の一環として、仮想通貨に対する規制を強める中、仮想通貨の根幹をなしているブロックチェーン技術については積極的な姿勢を見せる ”経営的” 施策が今回の結論を生んでいるのかもしれない。