中国で仮想通貨のOTC取引が活発化
先週の仮想通貨の高騰に反応か
先週、ビットコインの価格が急上昇したことを受け、中国では多くの市場参加者がOTC取引に殺到したようだ。SNSニュースアカウントcnLedgerによる7日のツイートでその様子が公表されている。
1/ Chinese markets reveal strong buys. OTC (Over-The-Counter) trades, the almost only way to buy bitcoin with fiat in China, showing considerable $ premium (1 USDT = 7 CNY) over the official rate of 1 USD = 6.7 CNY. pic.twitter.com/bd0n0DGFVU
— cnLedger (@cnLedger) April 8, 2019
OTC取引とは、店頭取引とも呼ばれ、売買を行う当事者同士が直接取引を行う取引形態であり、大口の取引でも市場価格に影響を及ぼさないという特徴がある。
一方、取引所取引では、取引所が提示するレートで市場参加者が売買を行い、市場参加者の売買は取引所が提示するレートに反映される。つまり、「需要」と「供給」の関係が反映されることとなる。
取引所取引では、大口の注文は市場価格に影響を及ぼすため、一度の最大取引数量に上限が設けられている場合がほとんどだ。
一般的には、こうした事情により、OTC取引が選択されるケースが多いが、”中国における仮想通貨のOTC取引”事情はまた異なる。
中国の仮想通貨取引事情
中国は、仮想通貨取引に対して規制が厳しいことでも有名だ。2017年ICOの全面禁止が決定され、仮想通貨取引所にも閉鎖が命じられた。というのも、かねてから中国では人民元の流出防止のための資本規制が行われてきた。
ビットコインなどの仮想通貨は、ボーダーレスに取引されるという特徴を色濃く持つ。こうした背景から、仮想通貨取引の規制は、人民元流出を防止するための資本規制の一環という見解も多くみられる。(もちろん、「ICOが詐欺の温床となっている」といった現状も理由の一つとして挙げられるだろう。)
しかし、仮想通貨取引の規制が厳しくなって以降も中国における仮想通貨への人気は衰えていない。
そんな中、中国で仮想通貨取引を行うために選択された手段がOTC取引だ。取引所が閉鎖され、取引所取引ができない現状では、当事者間で行われるOTC取引は、中国において ”唯一” 仮想通貨取引を行う手段であるとも言える。
今回の一件は、先週のビットコイン価格の高騰を受け、”中国では” OTC取引により仮想通貨の売買が急激に増加したという見方が強い。
現状、中国における仮想通貨取引は、以下のような流れが一般的なようだ。
- OTC取引により人民元とテザー(USDT)の売買を行う
- 海外を拠点としている仮想通貨取引所を利用し、テザー建てで仮想通貨の売買を行う。
今回cnLedgerにより公開された情報も、人民元とテザーの売買についてのものとなっている。
中国でくすぶる「仮想通貨に対する関心」
先週のビットコイン及びアルトコインの高騰は、市場参加者に大きなインパクトを与えた可能性が高い。それは中国においても同様で、その結果がOTC取引量に現れたのだろう。
また、規制が続く中、「中国における仮想通貨に対する関心」は現在でも衰えていないという現状を色濃く表しているのかもしれない。