先日のビットコインの急上昇と関係性があるのではないかとされている仮想通貨Tether(テザー:USDT)を保有しているテザー社は24日、約5億枚(560億円)のUSDTを破棄したことが判明した。
Tether has just destroyed 500M USDt from the Tether treasury wallet with the following tx: https://t.co/HTG52LaRVh
For more information see the announcement here: https://t.co/McLTCGzmJi— Tether (@Tether_to) October 24, 2018
仮想通貨Tetherは、米ドルに裏付けされたステーブルコインとして世界中の投資家やユーザーから安定通貨として支持されており、ドルとUSDTは1:1で保証されていると説明されている。
今回、テザー社の仮想通貨USDTが大量に破棄されるに際して、公式サイト「tether.to」にて次のように発表された。
過去1週間にわたって、Tetherは循環型の供給源から相当量のUSDTを償還しました。これに伴い、テザーはテザー財務省の財布から500万USDTを破棄し、将来のUSDT発行のための準備措置として財布に残りのUSDT(約466m)を残します。
概念的には、Tether発行および償還プロセスは、Tetherホワイトペーパーに概要が記載されており、OMNIブロックチェーン上のTether財務残高を観察することによって発行および償還が可視化されています。
Tetherのトランザクションを確認
テザー社が大量に破棄した仮想通貨USDTのトランザクションは「OMNIEXPLORER.INFO」にてトラッキングを確認することができる。「Tether treasury」と呼ばれる金庫アドレス(1NTMakcgVwQpMdGxRQnFKyb3G1FAJysSfz)から、USDTの発行用アドレスへ移動、その後破棄が完了したことが分かっている。
USDTに集まる疑惑の目
USDTには以前から疑惑が集まっており今月15日、ビットコインの価格が上昇トレンドへと突入し、11日から14日までビットコインの価格は70万円を下回る約69万円まで下落をしていたが、74万円まで価格を回復させたのだ。
さらに、多くの取引所が平均として73万円から74万円を推移していたが、テザー社と共通の株主を持つ世界トップクラスの取引所「Bitfinex(ビットフィネックス)」は約78万円までビットコインの価格が上昇、上昇率に関しては驚異の10%を記録していた。
これに対して、米仮想通貨取引所Bitfinexは10月23日、「ビットフィネクスは偽のデータを公開している」という記事に対して、「我々の後悔した数字は偽の数字ではありません」とコメントしたツイートを公式Twitterにて発表している。
https://t.co/sJ3VxufDli is the sum of USDt dep/wds to/from Bitfinex. We are not ‘publishing’ fake numbers; the API method is called ‘movement_volume’ and isn't part of our ticker API. Not pushed by us, pulled by CMC. Another not-so-brilliant example of anti Bitfinex/Tether FUD. https://t.co/elGnsVfCfA
— Bitfinex (@bitfinex) October 23, 2018
米ドルに裏付けされているとしたステーブルコイン「USDT」に集まる疑惑の目はこれからも続いていくとされている。
その理由としてUSDTとして発行している枚数と同じ数量の米ドルを準備金として保有していないのではないかと指摘された後、それを証明する監査法人との関係性に問題があるのではないか?また、それらの監査が数日で完了したことで、さらなる疑惑の目が向けられるようになったのだ。
しかし、これらのマイナスな市場分析に対して仮想資産のベンチャー企業である「Blockchain」が発表した研究報告によると、ステーブルコインの毎日の総取引量の98%がTether(テザー)によって支配されており、これらはビットコイン(BTC)の毎日の総取引量の60%の割合を占めていることが判明している。
ステーブルコインとして、ウィンクルボス兄弟が運営する仮想通貨取引所「Gemini(ジェミニ)」は今月3日、大手保険会社と提携、顧客や投資家の保有と取引所ジェミニが保有する仮想通貨に対して保険を適用することを発表した。
ステーブルコインが本当に米ドルに裏付けされているかの、透明性が十分であり、資金に対して保険が適用されていることを比べると、ステーブルコインの市場が大きく変化する日も遠くはないかもしれない。