僅差で可決!フランス国民議会が仮想通貨とステーブルコインの交換に31.4%の売上税導入へ

フランスが仮想通貨とステーブルコインの交換に1票差で売上税導入へ

フランス国民下院議会において、暗号資産をステーブルコインに交換する行為を法定通貨への「売却」と同等とみなし、利益に対して31.4%を課税する修正案(I-3898)が僅差で可決された。

今回の修正案は、左派会派のニコラ・サンス(Nicolas Sansu)議員らが2027年度予算案の一環として提出したものだ。2026年10月16日(金曜日)に行われた本会議の採決では、賛成38票、反対37票、棄権25票という、まさにわずか1票差で承認された。

これまでは、保有する暗号資産を別の暗号資産やステーブルコインへ交換しても、ユーロなどの法定通貨へ出金しない限り課税されない課税繰り延べが認められていた。しかし推進派は、ステーブルコインが実質的に一般的な決済手段として広く利用されている現状を指摘。「利益をステーブルコインへ回避させて税負担を逃れる『抜け穴』を防ぎ、税の公平性を保つべきだ」と主張した。

一方で、フランス政府はこの措置に懸念を示している。公会計担当大臣のダヴィド・アミエル(David Amiel)氏は、ブロックチェーン上での複雑な資産の組み換えを当局が追跡するのは実務上極めて困難であると警告し、導入の延期と慎重な議論を求めました。さらに、国内で続く生活費高騰への大規模な抗議デモや財政赤字問題も相まって、政治的な緊張感が高まる中での採決となった。

2027年導入予定:31.4%課税と新計算ルールの仕組み

法案が成立した場合、施行は2027年1月1日となる。EU(欧州連合)のMiCA(暗号資産規制)においてEMT(電子マネートークン)に分類される米ドル連動型のUSDCやEURCなどのステーブルコインへ交換した時点で利益が確定したとみなされ、課税が発生する。

主な変更点とルールは以下の通りだ。

税率の適用
算出された利益にはフランスの一律課税(フラットタックス)が適用される。社会保障負担金の引き上げに伴い、適用税率は従来の30%から31.4%へと上昇する。

個別算出への移行
従来のポートフォリオ全体をベースにした計算方式から、売却(交換)した銘柄ごとの加重平均取得単価を用いる計算方法へと変更される。

経過措置
2027年以前から保有している資産については、「実際の取得価額を個別に記録する」か「2026年12月31日時点の保有資産に按分する」かの選択肢(一度限り・撤回不可)が用意される。

具体的な課税例
1万ユーロ(約177万円)で購入したビットコイン(Bitcoin/BTC)が2万ユーロ(約355万円)に値上がりした段階でステーブルコインに交換した場合、利益である1万ユーロに対して31.4%にあたる3,140ユーロ(約557,000円)の税金が発生することになる。

ウォレット申告義務化の議論と業界の反発

国民議会では、ステーブルコイン課税にとどまらず、暗号資産の個人管理(セルフカストディ)に対する監視強化案も議論されている。

年末時点で10万ユーロ(約1,775万円)以上の資産を自己管理型ウォレットで保有する居住者に対し、当局への申告を義務付ける案が含まれており、未申告者には最大1万ユーロの罰金が科される可能性がある。

この動きに対し、暗号資産業界からは猛反発が起きている。保有者の詳細なデータ収集は、投資家を強盗や誘拐などの犯罪リスクに晒す恐れがあると主張されている。実際、フランスでは暗号資産保有者を狙った深刻な犯罪が相次いでおり、ウォレット大手Ledger(レジャー)の共同創業者が被害に遭った事件なども背景に、プライバシーと治安維持の面から強い危機感が示されている。

法制化へのハードルと今後の見通し

今回の可決は下院での修正案採択という1つのステップに過ぎず、現時点で確定した法律ではない。今後は上院(元老院)での審議へと移行するが、以下の要素から最終的な着地点は不透明だ。

上院での修正・削除の可能性
下院での決定が上院を拘束することはない。僅差での可決かつ政府自体が反対しているため、上院で内容が修正されたり削除されたりする可能性がある。

執行面の技術的課題
分散型取引所(DEX)を利用した取引や、国際的な税務報告枠組みの対象外にあるプラットフォームへの資金流入を防げるかという実務上の問題が残っている。

憲法規定による強行採決
最終的に政府が憲法第49条3項を利用し、議会採決を経ずに法案を強制成立させるか、あるいは修正案自体を撤回させるかといった政治判断も注目される。

フランスの暗号資産投資家や関連事業者は、今後の上院での審議スケジュールと税務当局から出される具体的な定義に引き続き注視する必要がある。

 

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