取引内容を暗号化し、フロントランニングやサンドイッチ攻撃を抑制
レイヤー1ブロックチェーンのAptos(アプトス)は2026年10月12日(月曜日)、暗号化Mempoolをメインネットに導入したと発表した。
保留中の取引内容を暗号化することで、フロントランニングやサンドイッチ攻撃などのMEV(最大抽出可能価値)を利用した攻撃の抑制を目指す。今回導入された暗号化Mempoolは、ユーザーが任意で利用できるオプトイン方式の機能で、AIP-144(Aptos改善提案144)に基づいて実装された。
従来のMempoolでは、ブロックへの組み込みを待つ取引の内容が第三者から確認できるため、ボットが注文情報を悪用するリスクがあった。特にフロントランニングやサンドイッチ攻撃では、他者の注文を先回りしたり、その前後に取引を挿入したりすることで利益を得る。
新機能では、対応するウォレットやアプリが取引内容をユーザーの端末上で暗号化してからネットワークに送信する。呼び出す関数や入力情報、取引する資産と金額は非公開となる一方、送信者のアドレスとガス料金は引き続き公開される。
バリデータは暗号化された内容を確認せずに取引の順序を決定し、その後、共同で復号化して実行する。単独のバリデータによる復号化はできず、ステークに基づく多数派の協力が必要となる。Aptosは既存のバリデータが取引の順序決定と復号化を担う設計を採用しており、外部の復号化委員会を必要としない点を特徴としている。
処理遅延は約20ミリ秒、Petraウォレットが対応
暗号化Mempoolには追加の処理負荷が伴うものの、Aptosが50ノードで実施したテストでは、ブロックあたりの遅延は約20ミリ秒にとどまった。
一方、暗号化された取引には基本ガス価格の2倍となる最低ガス価格が適用され、復号化のために375ガスユニットが追加される。利用者は取引内容を保護できる反面、通常より高い手数料を負担する必要がある。
ウォレットでは、Petraのブラウザー拡張機能が署名時に暗号化を選択できる最初の対応製品となった。TypeScript SDKもバージョン7.0.0以降で同機能をサポートしており、Aptos上の無期限先物取引所Decibelも導入を計画している。
また、Aptosは暗号化Mempoolに加え、残高や送金額を暗号化するConfidential APT(機密APT)、GoogleやAppleの認証情報を利用してブロックチェーンアカウントを作成できるKeyless Accounts(キーレスアカウント)をメインネットで提供している。
Aptosは、これら3つをプライバシー保護のための機能として位置付けており、コンプライアンスに対応した用途も想定している。暗号化Mempoolは取引ごとに利用を選択でき、機関投資家の大規模取引やMEVリスクを回避したいトレーダーなどを対象としている。























