英国がロシア関連の暗号資産プラットフォームに制裁措置
英国政府は2026年10月8日(木曜日)、ロシアによる制裁回避や資金移動を支援しているとして、暗号資産関連企業を含む大規模な制裁措置を発表した。
今回の措置は、ロシアの戦争遂行能力を支える金融インフラや石油収入ネットワーク、さらには制裁逃れに関与するシャドウ・フリート(影の船団)などを広範囲に標的としている。
暗号資産企業を狙った網羅的な包囲網
今回の制裁では、ロシア金融セクターとのつながりが指摘される複数の暗号資産サービスが対象となった。特に注目されているのが、暗号資産決済プロセッサであるCryptomus(クリプトマス)およびHeleket(ヘレケット)の運営元であるXeltox Enterprises Ltd.(ゼルトックス・エンタープライズ)だ。
ブロックチェーン分析企業の調査によると、CryptomusとHeleketはインフラや流動性を共有する同一の事業体とみなされている。CryptomusがKYC(本人確認)の義務化を進めた時期と並行してHeleketの取引量が急増したことから、規制逃れを目的とした巧妙なユーザーの誘導工作が行われていたとみられている。さらに、Xeltox社はすでにカナダでもマネーロンダリング(資金洗浄)関連の規制違反で巨額の罰金を科されるなど、各国から厳しい視線が向けられていた。
ダミー会社を通じた資金流出と国際ネットワーク
また、英国はキルギスを拠点とするTokenSpot(トークンスポット)に対しても制裁を科した。
調査によると、同社はロシアの暗号資産取引所Garantex(ガランテックス)の後継とされるGrinex(グリネックス)のフロントカンパニー(隠れ蓑)として機能しており、関連ネットワークを通じて巨額の資金が移動していたことが判明している。この中には、イランの制裁回避に関与したとされる金融ネットワークA7への多額の送金も含まれており、国境を越えた不正な資金ロンダリングの温床となっていた。
米国やEU(欧州連合)でも同様の動きが加速しており、米国財務省によるA7ネットワークへの規制強化や、EUによる第21次制裁パッケージにおける複数の暗号資産プラットフォームの取引制限など、国際的な連携による包囲網が狭められている。
エネルギー産業や軍事サプライチェーンへの波及
今回の制裁パッケージは暗号資産分野だけに留まらず、多岐にわたる経済セクターにおよんでいる。
英国外務・英連邦・開発省(FCDO)の発表によると、ロシアの主要石油企業であるZarubezhneft(ザルベジネフチ)やINK-Capital(インク・キャピタル)に加え、海運での欺瞞的な手法を用いて制裁を逃れようとする12隻のタンカーが新たに追加指定された。これにより、英国の制裁対象となった船舶は600隻を超えた。
さらに、軍事生産に不可欠な工作機械や電子機器の輸入に関与する企業・個人も標的となり、ロシアのサプライチェーン全体に対する圧力が一段と強化された。
コンプライアンスにおける今後の警戒
一連の動向を受け、各国のコンプライアンス担当チームには一層の警戒が求められている。
制裁対象となった企業が名称を変更したり、新たな後継サービスを立ち上げたりする手口が確認されているため、ウォレットアドレスやインフラの共有状況を常時監視し、不審な資金流入ルートを迅速に遮断することが不可欠となっている。
























