香港、2026年に4つの主要暗号資産サービスへ新ライセンス付与を計画

香港特別行政区政府が新たな規制改革を打ち出す

香港特別行政区政府は、国際金融センターとしての地位をさらに強固なものにし、急速に進化するフィンテック市場に対応するため、新たな規制改革を打ち出した。

FSTB(財経事務庫務局)のクリストファー・ホイ(許正宇:Christopher Hui)局長は2026年10月5日(月曜日)、仮想資産に関する規制を大幅に拡充する方針を表明。具体的には…、仮想資産の「取引」「カストディ(保管・管理)」「助言」「運用」の4つの主要サービスを対象とした新たなライセンス制度を確立するため、2026年末までに法改正案を提出する計画だ。

この動きは、香港の2026~2030年に向けた金融・フィンテック戦略の一環であり、デジタル資産市場に関与する多様な事業者を正式な規制の枠組みに組み込むことを目的としている。

4つの主要サービスを対象とした包括的な規制枠組み

新たに提案されている制度は、これまでの仮想資産取引所を中心とした規制から大きく対象を拡大するものだ。規制当局であるSFC(証券先物委員会)が中心となり、各活動に応じた厳格な監督体制を構築していく。

〇取引サービス:
既存の第1種証券取引に用いられている枠組みの一部に準拠し、投資家保護や資産管理、マネーロンダリング(資金洗浄)対策(AML)の要件を満たすことが求められる。
〇カストディサービス:
顧客の秘密鍵を保管する責任を負う企業を対象としており、香港内での資産保有に伴うリスク管理やセキュリティ基準の徹底が図られる。SFCは2026年後半にデジタル資産カストディ監視システムを稼働させる予定だ。
〇助言および運用(マネジメント)サービス:
それぞれ第4種証券規制や第9種資産管理要件をモデルとして構築され、「同一事業、同一リスク、同一規則」の原則に基づいてルールが整備される。

これらの新しいライセンス制度は、HKMA(香港金融管理局)が監督する法定通貨裏付け型ステーブルコインのライセンス制度と並行して運用されることになる。

市場からの歓迎と機関投資家の参入加速

香港における一連の規制拡大の動きに対して、業界からは概ね好意的な反応が寄せられている。2026年1月に行われた仮想資産の助言および運用ルールに関するパブリックコメントには多数の意見が寄せられ、多くの関係者が明確なルールの整備を歓迎した。

この背景には、香港における機関投資家向けデジタル資産市場の確実な成長がある。同市の銀行が保管・管理するデジタル資産の残高は2025年末時点で140億ドル(約2.2兆円)を超え、前年比で約180%の急増を記録。また、トークン化預金の残高も290億ドル(約4.58兆円)に達している。さらに、香港では暗号資産現物ETFが上場し、その合計時価総額は約43億ドル(約6,788億円)に達するなど、規制された投資商品が着実に市場へ定着しつつある。

一部の業界関係者は、香港をアジアにおける規制下での暗号資産導入の重要な「実験場」と位置づけている。

詐欺防止の強化と先進的なインフラ整備

ライセンス制度の導入と並行して、香港政府は市場の信頼性を高めるための強力な監視・防衛策も講じている。

財経事務庫務局とHKMAは、AI(人工知能)の悪用によって生成・助長される詐欺を含む悪質なコンテンツの検知や削除を改善するため、テクノロジー企業や通信企業を対象とした法制度の変更を検討。また、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の活用に向けたProject Ensemble(プロジェクト・アンサンブル)のパイロットフェーズとして、EnsembleTX(アンサンブルTX)を通じた24時間年中無休のデジタル決済・運用インフラの導入も2026年末頃に予定されている。これにより、伝統的金融とデジタル資産が融合した高度な金融エコシステムが形成されつつある。

今後は、法改正案が香港立法会へ提出された後の審議プロセスを経て、具体的な施行日や適用除外規定などが正式に決定される見通しだ。香港は、明確でプロフェッショナルな規制環境を整備することで、グローバルなデジタル資産ビジネスのハブとしての地位を一層確固たるものにしようと進んでいる。

 

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