仮想通貨企業への国家信託銀行認可に異議
米国の地域銀行を代表するICBA(全米独立地域銀行協会)は、仮想通貨企業への国家信託銀行認可を巡り、OCC(通貨監督庁)を提訴した(※事件番号1:26-cv-03441)。
ICBAは、通常の銀行に課される規制の一部を負わない仮想通貨企業に、連邦銀行認可と同等の信頼性を与えていると主張している。ICBAは米国コロンビア特別区地方裁判所に訴訟を起こし、2026年3月2日に公表されたOCCの認可規則と、2021年1月に発行された解釈書簡1176号などの無効化を求めている。
問題となっている規則は、信託会社業務のみを行う国立銀行が、信託業務に関連する非信託業務も行えることを明確化したものだ。OCCは、この規則について既存の認可権限を拡大も縮小もするものではないとの立場を示している。
一方、ICBAは、国立銀行法が想定する銀行は、預金業務を行う銀行や銀行向けサービスを提供する銀行、受託者などの信託業務を担う銀行に限られると主張。預金業務も受託業務も行わない限定目的の信託銀行を認可する法的根拠はないとしている。
訴訟では、OCCの規則が権限を超えていることに加え、解釈書簡1176号が必要な意見募集手続きを経ずに採択されたとも主張している。また、プロテゴ・トラスト(protegotrust)に対する条件付き認可についても、その前提となる措置に問題があるとして取り消しを求めた。
仮想通貨企業の信託銀行認可拡大に地域銀行が反発
ICBAは、国家信託認可を取得した仮想通貨企業が、FDIC(連邦預金保険公社)の保険やCRA(地域再投資法)上の義務、従来の銀行に適用される資本・流動性基準などを負わずに、連邦政府認可の銀行としての信用を得られる可能性を問題視している。
訴状によると、OCCは21の国家信託銀行を承認または条件付きで承認しており、このうち13行を仮想通貨企業が保有している。また、リップル(Ripple)、ビットゴー(BitGo)、パクソス(Paxos)などについて、OCCが認可を承認または申請を受理しており、クラーケン(Kraken)の親会社ペイワード(Payward)やブロック(Block)、World Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル)なども申請企業として挙げられている。
ICBAはさらに、国家信託認可の下で仮想通貨企業が保有するデジタル資産には、一般的な銀行預金と同等の連邦レベルの保護が及ばない可能性があると指摘した。
一方でOCCは、今回の制度変更は新たな権限を作り出したものではなく、既存の認可権限を明確にしたものとの立場を維持している。訴訟ではまだ判決は出ておらず、仮想通貨企業への国家信託銀行認可をどこまで認めるかを巡る法的な争いが続くことになる。
























