ヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアム最新ロードマップを公開
イーサリアム(Ethereum/ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、ブロックチェーンの新たな開発指針となるストローマップ(暫定ロードマップ)を提示し、従来の計画から優先順位を大きく刷新したことを明らかにした。
I updated my 2023 roadmap diagram to overlay where the items that were there sit in the current Strawmap ( https://t.co/9deLIQWG24 ).
In general, a lot of overlap, but:
* Some things got reshuffled in order (eg. quantum safety up-prioritized)
* Some things deprioritized (eg.… pic.twitter.com/XLdIt4kAgT— vitalik.eth (@VitalikButerin) August 10, 2026
2023 年のロードマップ図を更新し、そこにあった項目が現在の Strawmap(strawmap.org)のどこに位置するかを重ね合わせました。 一般的には重複が多いですが、次のようになっています。 * いくつかの…
暗号技術やAI(人工知能)の急速な発展を受け、2029年までを見据えた今回のアップデートでは、ネットワークの最優先課題としてプライバシー機能の統合と耐量子セキュリティの確保が大きく浮き彫りになっている。
従来計画の再編と「リーン化」への移行
2023年時点の計画では、The Merge(マージ)をはじめThe Surge(サージ)、The Verge(バージ)といったフェーズごとの展開が中心だった。しかし最新案では、Verkleツリー構想が統合バイナリツリーやPBT設計へ切り替えられたほか、検証可能遅延関数(VDF)などの一部要素は優先順位が引き下げられるなど、技術的アプローチの大幅な見直しが行われている。
ブテリン氏は、プロトコル全体の構造をスリム化し、より堅牢なインフラへ再構築する“リーン化(Lean-ification)”を推進している。これにより、検閲耐性やセキュリティをハイレベルで維持しながら、高パフォーマンスなエコシステムを目指す姿勢を示している。
ユーザーを保護するプライバシー機能と量子時代の防衛策
今回新しく提示された指針の中で、最も注目されるのが「ネイティブプライバシー」と「耐量子性」の強化だ。
これまで周辺課題として扱われがちだったプライバシー面においては、鍵付きノンスやプライバシープール、歴史的データを隠蔽(いんぺい)するワームホールといった暗号技術を導入し、取引メタデータの漏えいを防ぐ構造が組み込まれた。
一方、将来的な量子コンピューターの脅威に対応するため、イーサリアム財団は専門チームEthereum PQを始動させ、NIST(米国国立標準技術研究所)の標準に準拠した暗号アルゴリズムの検証を進めている。署名サイズの肥大化や検証コストの上昇を抑えつつ、ウォレットレベルからプロトコル全体へおよぶ安全対策を低コストで適用する研究が進行中だ。
専門化するスケーリング手法と先進技術の統合
拡張性(スケーリング)に対する考え方も大きく変化している。すべてのトランザクションを一律に処理する方式から脱却し、トークン移転や分散型取引、プライバシー処理など、用途ごとに最適化されたネットワーク設計が模索されている。その一環として、基盤プロトコル自体が検証機能を一部担うネイティブロールアップの採用や、データ容量を確保するためのブロブ・ガス先物市場の導入が検討課題に加わった。
さらに、データ処理を効率化するゼロ知識証明(STARKs)の全面的な採用や、AI技術を活用した「形式検証」が開発の前提として組み込まれた。複雑なスマートコントラクトや実行環境の数学的チェックをAIで省力化することで、高い安全性を担保した柔軟な仕様変更が可能になると期待されている。
今後の見通しと影響
今回の暫定案は、即座にネットワークへ適用されるハードフォークではない。各提案は今後、研究者や開発者コミュニティによる検証と合意形成のプロセスを経て順次実装へ向けた議論が進められていく予定だ。
また、スケーリングだけに留まらず、長期的なセキュリティとプライバシーを重視したこの方針転換は、今後のレイヤー2開発者や機関投資家などのエコシステム参加者全体に大きな指針を与えることになる。























