USDCの発行・償還停止を巡りCircle側の対応を支持
ステーブルコイン発行企業Circle (サークル)社は、Tether(テザー)社が主要投資家となっているHeka Fundsとの仲裁で勝利した。
仲裁人は、Heka側が求めていた4,900万ドル(約79.6億円)の逸失利益に関する請求を退け、CircleによるUSDCの発行・償還サービス停止は契約上認められた対応だったと判断した。
Tetherとの資金関係やUSDC取引を問題視
紛争の対象となったのは、ロンドンを拠点とするAbraxas Capital Management(アブラクサス・キャピタル・マネジメント)が運用する、マルタ拠点のHeka Fundsである。Hekaは2022年1月、Elysium Global Arbitrage FundのためにCircleの口座を開設した。
仲裁記録によると、Hekaは口座開設時に投資家としてサイモン・グリマ(Simon Grima)氏のみを開示していたが、その後、Tetherが主要な資金提供者となった。仲裁時点でTetherの投資額は約8億ドル(約1,300億円)に達し、Elysium(エリジウム)の資産のおよそ75%を占めていたという。
両社の対立は、2023年3月にシリコンバレー銀行が破綻し、USDCが一時的に1ドルを下回った後の裁定取引を巡って深まった。Hekaは市場で割安となったUSDCを購入し、Circleを通じて額面価格で償還していた。
Circleは、他の裁定取引業者が取引を停止した後もHekaが大規模な償還を続けていたことや、Tetherが通常の発行手数料を免除していたことなどから、取引がTetherへの資金流入を促す可能性を疑った。2023年11月にはHekaの発行・償還限度額をゼロに引き下げ、同年12月に口座を停止した。
仲裁人はCircleの契約上の権利を認定
仲裁人を務めたロバート・L・ドンデロ(Robert L. Dondero)元判事は、HekaがTetherとの資金関係を意図的に開示しなかったと判断。また、Circleは市場操作が実際に行われたことまで証明する必要はなく、その可能性を合理的に疑ったことを示せば十分だったとした。
デラウェア州法を適用した仲裁判断では、Circleの利用規約には取引限度額の変更やサービス停止を裁量で行う権限が定められており、同社は契約に違反していないと認定された。Hekaが主張した4,900万ドル(約79.6億円)の逸失利益に関する請求も却下された。
Circleは約515万ドル(約8.3億円)の弁護士費用などを請求していたが、認められたのは、専門家の業務に関連する費用として16万6,643.25ドル(約2,700万円)だった。
Heka側は市場操作への関与を否定し、規制当局による調査や訴訟の対象になったこともないと反論している。また、Circleによる仲裁資料の公開は、USDCの償還を拒否した問題から注意をそらすためだと主張した。
Circleは現在、2月に下された非公開の仲裁裁定を、執行可能な連邦裁判所の判決として承認するよう求めている。
























