韓国最高裁が暗号資産の差し押さえ・清算に関する新規則を策定
韓国最高裁判所は民事執行規則の改正案を提示。暗号資産の凍結から清算、債権者への分配に至る一連の明確な司法手続きを構築し、2026年10月の施行を目指して動いている。
韓国では人口の約3分の1にあたる1,600万人以上が暗号資産口座を持つなど、デジタル資産の普及が急速に進むなか、民事紛争や債務弁済を巡るトラブルも増加。これまで韓国では、暗号資産を合法的に差し押さえる具体的な手続きが標準化されておらず、回収までに膨大な時間を要するなど法的な曖昧さが課題となっていた。
新規則案では、裁判所が暗号資産の差し押さえ命令を出した場合、債務者は対象資産の譲渡や処分が即座に禁止される。中央集権型取引所に保管されている資産については、取引所側が資産を裁判所の執行官に引き渡す必要があり、執行官がこれを受領した時点で差し押さえが正式に成立する。この際、第三者への送金も完全に遮断される仕組みです。
また、最終的な判決が出る前に資金が移動されるのを防ぐため、訴訟の進行中に債務者のウォレットを一時的に凍結できる「暫定処分制度」も導入される。これにより、海外や別のプライベートウォレットへの資金隠匿を未然に防ぐことが可能になり、従来の金融資産と同様の安全性が確保される。
流動性の低い「アルトコイン」への実務的アプローチ
今回の改正で特に注目されているのが、取引量が少なく価値が不安定な「マイナーなアルトコイン」への対応だ。
これまでは流動性の低いトークンを差し押さえても、法定通貨(韓国ウォン)との交換が難しく、債権者が価値の不透明な資産を抱え込むリスクがあった。新ルールでは、執行官がVASP(仮想資産サービスプロバイダー)に専用口座を開設し、差し押さえた資産を管理。市場流動性の低いトークンについては、実際の売却をする前にビットコイン(Bitcoin/BTC)などの換金性の高い主要通貨に変換することが認められる。これにより、清算プロセスが大幅に簡素化され、債権者への迅速かつ確実な分配が可能となる。
10月施行に向けた実務面の課題
最高裁は2026年8月11日まで一般からの意見(パブリックコメント)を募集し、同年10月の施行に向けて規則を最終決定する方針だ。
刑事事件において「暗号資産は独立した経済的価値を持つ財産である」とした過去の司法判断をベースに、今回の民事における法整備は、デジタル資産を主流の執行制度に完全に組み込む画期的な試みとなる。
今後は、暗号資産取引所が裁判所の命令にどれだけ迅速に対応できるかや、専用の執行口座の運用といった実務面でのシステム構築が次の焦点となるだろう。
























