ETHトレーダーが一瞬にして200万ドルを失う
DEX(分散型取引所)を利用していたある仮想通貨トレーダーが、1,126.44ETH、約3.2憶円相当もの巨額ポジションのほぼすべてを一瞬にして失うという痛ましい事件が発生した。
Someone swapped 1,126.44 $ETH($2.01M) for only 5,776 $LIT($14,208), losing nearly $2M! 😱https://t.co/T86wIi7T76 pic.twitter.com/0ETOQ2ApR6
— Lookonchain (@lookonchain) July 6, 2026
セキュリティ企業GoPlus Securityの調査によると、原因はスワップ(=交換)を実行した「0xルーター」の挙動にある。
このルーターは、流動性が極めて低いUniswap v3の「AVAIL/WETH」ペアのプールに約1,117 ETHもの注文を誘導してしまったという。流動性が枯渇している市場に巨額の買い注文が入った結果、取引は当時の適正価格の約120倍という異常な高値で成立。トレーダーの手元には、わずか1万4,500ドル(約235万円)相当のトークンしか残らなかったとのことだ。
サンドイッチとは違う「同一ブロックバックラン抽出」の手口
この資産消失の裏で暗躍したのが、イーサリアムの「ブロックビルダー」と呼ばれる存在である。
今回の手法は、一般的なMEV(最大抽出可能価値)ボットが用いる、ユーザーの取引を挟み込むように注文を入れる手法のサンドイッチ攻撃とは異なり、「同一ブロックバックラン抽出」と呼ばれるものだった。
・異常な価格差の発生: トレーダーの注文により、プールの価格が急激に歪められ、一時的に約667万AVAILトークンが発行される。
・高速な裁定取引: ルーターは外部から調達した少量のAVAILを同じプールにすぐさま売却し、約1,072 ETHを引き出した。
・ビルダーへの報酬: この歪みによって生じた利益のうち、1,018 ETH(約180万ドル相当)が、ブロックを構築した「Titan Builder(タイタンビルダー)」へ報酬として支払われた。
最終的に、被害者のウォレットに残ったAVAILはわずか1万4,200ドル(約1,850万円)相当のLighter(LIT)トークンへと再交換され、当初の資産の99.3%を失う結果となった。
巨利を貪るブロックビルダーの影
今回の事件で最大の勝者となったTitan Builderは、MEV市場で圧倒的な存在感を示しており、DefiLlamaのデータによると、同社は2026年に入ってからのブロック構築サービスだけで、すでに1億1,260万ドル(約182.8億円)もの収益を上げている。今年3月にも、CoWプロトコルに関連するインシデントから約3,400万ドル(約22.7億円)の利益を抽出したばかりだった。
「確認前にルートを見よ」取引署名に潜む盲点
仮想通貨トレーダーのルスラン・ハイルリン(Ruslan Khairullin)氏はX上で、この悲劇は防げたはずだと警鐘を鳴らし、次のように述べている。
取引経路(ルート)をしっかり確認するよりも早く、確認ボタンをクリックしてしまうと、このようなことが起きます。リアルタイムで目の当たりにするには、あまりにも痛烈な教訓です
ハッカーによる直接的な盗難だけでなく、DEXのルーティング不具合やMEVボットの監視の目は、いまや全ユーザーにとっての脅威である。巨額取引をする際、画面に表示されるスリッページ(許容する価格ズレ)や仲介ルートの確認を怠ることは、全財産をボットに差し出す行為に等しいと言える。
























