ナイジェル・ファラージ氏、仮想通貨の贈与スキャンダルを受け議員辞任へ

ナイジェル・ファラージ氏が仮想通貨の贈与スキャンダルを受け議員辞任へ

英国の右派政党「改革党(Reform UK)」の党首であるナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏は、暗号資産業界の有力者らから巨額の資金援助を個人的に受け取っていたスキャンダルをめぐり、クラクトン選挙区の国会議員を辞任すると発表した。

ファラージ氏は、身の潔白を主張しており、今回の辞任によって生じる補欠選挙に再出馬し、有権者に直接信を問う構えだ。


浮上した2つの未申告献金疑惑
議会倫理委員会が調査を進めている疑惑は主に2件ある。

1つは、ステーブルコイン「テザー(Tether/USDT)」の初期投資家として知られる億万長者クリストファー・ハーボーン(Christopher Harborne)氏から、500万ポンド(約10億円)にのぼる巨額の個人的贈与を受け取りながら議会に申告していなかった問題。これについて同氏は、過激な政治対立から身を守るための「身辺警護費用」であり、無条件の贈り物であるため申告義務は生じないと主張している。

2つ目は、過去に米国で電信詐欺の罪により服役し、現在は仮想通貨ギャンブルサイトとの関わりが指摘されている長年の友人、ジョージ・コットレル(George Cottrell)氏からの支援だ。コットレル氏はファラージ氏の私設警備や宿泊費、航空券などを肩代わりしていたとされるが、大半が未申告だった。下院規則では300ポンド(約65,000円)を超える政治活動関連の費用は登録が必要だが、ファラージ氏側は報道を「根拠のない捏造」と一蹴している。

パフォーマンスか国民への信か

ファラージ氏はYouTubeやXのライブ配信で、「法律違反や公金の不正使用は一切していない」と潔白を強調。

「これは既成勢力との戦いだ。クラクトンの住民に直接、私の行動を評価してもらう」と補欠選挙への意気込みを語っている。しかし、この電撃辞任によって議会による2件の倫理調査は一時凍結されることになる。

この動きに対し、自由民主党のエド・デイヴィー(Ed Davey)党首は「単なるパフォーマンスだ」と批判。改革党から離反したライバル政党のルパート・ロウ氏も「500万ポンドは申告すべきだった」と非難の声を上げている。

2024年の総選挙で46.2%の得票率を得て初当選したファラージ氏だが、数週間から数カ月以内に実施される補欠選挙では、他党による戦術投票も含めた厳しい戦いが予想される。

政治の世界に拡大する仮想通貨マネーの影

ファラージ氏は以前からビットコイン(Bitcoin/BTC)運用会社「Stack」の株式を取得するなど、現職の英国政党党首として公に仮想通貨へ投資してきた。

同党はビットコインの国家準備金創設や減税などの規制緩和を掲げていたが、今回のスキャンダルや、政府が進める外国からの政治献金規制強化により、主要な資金源だったハーボーン氏らからの資金流入は打撃を受けるとみられる。

こうした政治と仮想通貨をめぐる不透明な資金流動は、大西洋を挟んだ米国でも大きな議論を呼んでいる。米国の消費者擁護団体の報告によると、2026年の中間選挙に向けて暗号資産業界が投じた政治資金は約1億8,900万ドル(約306.8億円)に達した。さらにドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の資産公開でも暗号資産事業から約14億ドル(約2,272.4億円)の収入が発覚。巨額のデジタル資産マネーが国家の政治や規制のあり方に及ぼす影響力への警戒感は、世界中で急速に高まっている。

 

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