テザー社がメルカド・ビットコインに2000万ドルの出資
ステーブルコインUSDTの発行元として知られるテザー(Tether)社は、ブラジルを拠点とする暗号資産プラットフォーム「メルカド・ビットコイン(Mercado Bitcoin)」へ2,000万ドルの戦略的投資をした。
この資金は、ラテンアメリカ全域におけるオンチェーン金融サービスの普及とインフラ強化に投入される。2013年に暗号資産取引所として産声を上げたメルカド・ビットコインは、13年をかけて強固な金融基盤を築き、現在では450万人以上のユーザーを抱え、20億ブラジルレアル(約629.4億円)を超えるトークン化資産を発行している。
同社はブラジル中央銀行から決済機関としてのライセンスを取得しているほか、欧州を含め10以上の規制認可を保有。単なる取引所にとどまらず、資産運用や証券化、ブローカー・ディーラー業務までを手がける総合的なオンチェーン金融プラットフォームへと成長している。
資金の使途と4つの成長領域
今回の2,000万ドルの調達資金は、主に以下の領域の拡大と国際展開に充てられる計画だ。
・決済インフラの拡充: ステーブルコイン決済や国境を越えたバンキングツールの強化
・トークン化商品の開発: 個人・機関投資家向けの実物資産(RWA)や投資商品の拡充
・融資・信用枠の拡大: オンチェーンでの融資およびクレジット供与の強化
・資本市場のデジタル化: ブロックチェーン技術を活用した新たな資本市場の開拓
メルカド・ビットコインはすでにこの分野で実績を上げており、直近でもビットコインのサイドチェーンRootstock(ルートストック)上で2,000万ドル以上のトークン化プライベートクレジットを展開している。
テザー社が仕掛けるグローバル投資戦略
流通量1,840億ドル(約30兆円)を誇るUSDTの運営元であるテザー社は、潤沢な利益を次世代インフラへ還元する戦略を加速させている。
同社は2026年第1四半期だけで約10億4,000万ドル(約1,690.5億円)の純利益を計上。今回の出資もその豊富な資金力を背景にしたものである。
テザー社は初期段階の不確実なプロジェクトではなく、すでに確かな市場規模と規制準拠を兼ね備えた企業を厳選して支援。ほかにも、米上場企業への出資や、アジア・アフリカ向け送金アプリLemFi(レムフィ)への投資、ジョージア政府とのステーブルコイン共同開発など、世界中でブロックチェーンと既存金融の融合を推進している。
ラテンアメリカにおけるオンチェーン金融の未来
現在、ブラジルを中心とするラテンアメリカでは、銀行や決済プロバイダーがブロックチェーンインフラを自社システムへ統合する動きが急速に進んでいる。特にブラジルはデジタル資産の規制整備が先進的であり、消費者の需要も極めて高い地域である。
テザー社が出資する決済アプリOobit(オービット)が、ブラジルで1億7,000万人が利用する即時決済システムPIX(ピクス)と連携したことも、その好例と言える。
規制された金融とブロックチェーンの交差点に位置するメルカド・ビットコインは、テザー社という強力なパートナーを得たことで、ラテンアメリカの金融変革を牽引する立場をさらに確固たるものにした。
























