台湾、初の仮想資産サービス法を可決:規制拡大とライセンス制導入、違反者には罰則(懲役刑)を導入

台湾が仮想資産サービス法を可決

台湾の国会に相当する立法院は、国内初となる包括的な暗号資産規制法案「仮想資産サービス提供者法」を第3読会で可決した。

これにより台湾は、日本やシンガポール、香港と並び、デジタル資産に関する明確な法的枠組みを有する先進的な地域として歩みを進めることになる。これまでのAML(マネーロンダリング=資金洗浄)対策を中心とした部分的なアプローチから脱却し、事業運営のライセンス化、ステーブルコインの発行基準、市場の健全性維持までを包括的にカバーする、新たな規制の時代が幕を開けた。

7つのカテゴリーにライセンス義務で猶予は最長21カ月

新法では、取引所や取引プラットフォーム、送金サービス、カストディアン(資産保管業者)、引受業者、貸付業者など、VASP(仮想資産サービスプロバイダー)を7つのカテゴリーに分類して定義している。

これらの事業者は今後、FSC(金融監督管理委員会)から正式なライセンスを取得しなければ事業を行うことができない。すでに登録済みの既存事業者には移行期間が設けられており、法律の施行後12カ月以内にライセンスを申請・承認を受ける必要がある。この法制化により、従来の“規制のグレーゾーン”に頼っていた事業スタイルは通用しなくなる。さらに、従来の金融機関にもデジタル資産分野への参入が認められるため、既存の暗号資産企業は新たな競争への直面を余儀なくされるだろう。

なお、事業者には、顧客資産の分別管理、厳格なサイバーセキュリティ対策、財務報告の開示、トークンの上場・廃止審査プロセスの確立など、極めて高いガバナンス水準(内部統制)が求められる。

厳格なステーブルコイン発行要件とデリバティブへの布石

今回の法案で特に注目されるのが、ステーブルコインに関する具体的な枠組みの創設だ。台湾国内でステーブルコインを発行する場合、FSCの承認に加えて中央銀行の同意が必須となる。

発行元には、発行額と同等の準備資産を保有し、それを信託管理下に置くことが義務付けられるほか、定期的な外部監査と継続的な情報開示が課される。FSCは、この強固な枠組みが台湾のデジタル経済を国際市場へ統合するための基盤になると期待を寄せている。また、今後の展望として、暗号資産デリバティブ商品の提供に向けた計画も1年以内に策定される見通しだ。

無許可営業や市場操作には「最長10年の懲役刑」

不公正な取引を排除し、投資家を保護するため、新法には強力な刑事罰が盛り込まれている。

FSCの認可を受けずにVASPの運営やステーブルコインの発行を行った場合、最高7年の懲役刑や最大1億台湾ドル(約5億円)の罰金が科される。さらに悪質な、仮想資産をめぐる詐欺行為、欺瞞、価格操作などの市場歪曲(わいきょく)行為に対しては、3年から10年の懲役刑に加え、1,000万~2億台湾ドル(約5,000万円~10億円)という非常に重い罰金が科される。

この法律は頼清徳(らいせいとく)総統の署名を経て、行政院(=内閣)が具体的な施行日を決定する予定だ