深刻な資金流出と収益悪化を受け持続可能な運営体制へ移行
Balancer(バランサー)は2025年後半に発生したハッキング事件を受け、ネイティブトークンBALの発行を終了し、トークノミクスの再構築に踏み切る方針を示した。
従来の流動性マイニング中心の設計を見直し、持続可能な収益モデルへの転換を図る。Balancerはこれまで、流動性確保のためにBALを継続的に発行するモデルを採用してきたが、この仕組みが収益を上回るコスト構造を生んでいた。トークンの発行とアンロックは2034年まで続く設計だったが、ハッキング後の環境では維持が困難となっていた。
2025年11月に発生した脆弱性攻撃では、1億ドル(約159億円)規模の資金が流出し、特にラップドイーサ(Wrapped Ether/WETH)担保の資産が標的となった。この影響により、ロックされた総資産額はピーク時の30億ドル(約4,770億円)超から約1億5,800万ドル(約251億円)まで大きく減少した。手数料収入も1日あたり1万5,000ドル(約238.5万円)を下回る水準に落ち込み、収益が大きく低下した。
新たな提案では、BALの発行を停止することが提案され、トークンの希薄化を抑制する。加えて、プロトコル手数料の100%をプロトコル側に集約する方針へ転換する。流動性提供者に対しては、V3スワップ手数料の配分を見直し、より多くの手数料を保持できる設計に変更する。
また、veBALのロックプログラムは終了し、補償および買い戻しが実施される。これにより流通しているBALの最大35%が償却される可能性がある。
Balancer Labs閉鎖と小規模運営への移行
今回の再編では、運営体制にも大きな変更が加えられる。Balancer Labsは閉鎖を決定し、事業縮小を進めている。
共同創設者フェルナンド・マルティネリ(Fernando Martinelli)氏は、同社がプロトコルにとって資産ではなく負債となっていると述べ、2025年11月の攻撃に伴う法的リスクを理由に挙げた。
今後はBalancer FoundationとDAOを中心とした体制へ移行し、より小規模で効率的な運営が行われる。チームは縮小され、コスト削減を前提とした継続モデルが採用される見通しだ。
一方で、プロトコル自体は直近3カ月で100万ドル(約1.6億円)以上の収益を生み出しており、完全な停止ではなく再建が目指されている。新たなトークノミクスでは、手数料収益をDAOに集約し、過剰なインセンティブに依存しない構造へと転換する。
一連の改革は、ハッキングによる損失と収益構造の歪みを是正し、Balancerを持続可能なプロトコルとして再生させるための取り組みと位置付けられる。























