買収完了で世界初のマルチアセットプライムブローカーを運営へ
リップル(Ripple)社は、非銀行系プライムブローカーのヒドゥンロード(Hidden Road)社を12億5,000万ドル(約1,897億円)で買収し、新ブランド「リップルプライム(Ripple Prime)」として事業を統合した。
これにより同社は、デジタル資産と従来金融を統合する世界初のマルチアセット・プライムブローカーを運営する暗号企業となった。
リップルプライムの全体像と統合状況
リップルプライムは、機関投資家に決済、保管、取引、融資を一体で提供するプラットフォームであり、デジタル資産、外国為替、デリバティブ、債券など複数の資産クラスを扱う。
これによりリップルは、従来金融におけるプライムブローカー業務をブロックチェーン領域へ拡張し、仮想通貨企業として初めて包括的な機関投資家向けブローカレッジを確立した。買収発表後、リップルプライムの事業規模はすでに3倍に拡大。新規顧客に加えて既存のリップルネットワーク利用者からの需要も増しており、統合的な金融サービスの提供が進む。統合作業は今後も続き、ヒドゥンロード創設者マーク・アッシュ(Marc Asch)氏がリップルのブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)CEO(最高経営責任者)と共に移行を主導していく。
リップルは、「Hidden RoadはRipple Primeになりました」と発表し、従来の送金企業から総合的な金融インフラ企業へと進化を遂げつつある。
RLUSDが果たす役割
リップルは、米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD(リップルUSD)」をリップルプライムの中核と位置づけている。すでに一部の顧客がRLUSDをデリバティブ取引や担保に利用しており、今後はブロックチェーン機能を統合して業務効率を高める計画だ。
買収戦略の加速と事業領域の拡張
ヒドゥンロード買収は、リップルが近年進めてきた買収戦略の一環であり、同社の成長方針を示す動きとなった。
直近では、財務管理ソリューションのGTreasuryを約10億ドル(約1,518.6億円)で取得し、企業向け資金運用領域を強化。さらに、ステーブルコイン決済プラットフォームRailを2025年8月に買収し、決済・清算基盤を拡充した。これらの取引は、2024年6月のStandard Custody、2023年6月のMetacoの買収に続くもので、リップルの戦略的買収をさらに加速させている。
ガーリングハウスCEOは、「リップルは過去2年間でGTreasury、Rail、Standard Custody、Metacoを含む5件の主要な買収を完了した。これらは“価値のインターネット(Internet of Value)”の実現に向けた重要なステップであり、すべての中心にはXRPがある」と述べた。
With today’s close of Hidden Road (now Ripple Prime), Ripple has announced 5 major acquisitions in ~2 years (GTreasury last week, Rail in August, Standard Custody in 2024, Metaco in 2023). As we continue to build solutions towards enabling an Internet of Value – I’m reminding you… https://t.co/O5Uub7ulw9
— Brad Garlinghouse (@bgarlinghouse) October 24, 2025
これらの買収によってリップルは、ブロックチェーンを核とする金融基盤を自社グループ内で統合し、決済から資産保管、ステーブルコイン運用までをカバーする体制を確立した。ヒドゥンロードの買収完了により、同社はグローバルなプライムブローカー事業への足場を固め、デジタル資産市場での地位をさらに強化している。
























