WazirXハッキング被害2億3400万ドルの返済計画が前進

シンガポール高等裁判所の象徴である天秤を背景にした法的承認をイメージした写真。WazirXの再建計画承認とユーザー返済を象徴している。

シンガポール裁判所が再建計画を承認、10日以内に業務再開へ

仮想通貨取引所WazirX(ワジールX)は、待望されていた再建計画についてシンガポール高等裁判所から承認を受け、2024年7月に発生した約2億3,400万ドルのハッキング被害に対するユーザーへの返済の道を開いた。

この承認は、数カ月にわたる交渉と修正を経て実現したもので、債権者からも圧倒的な支持を得ている。裁判所の判断により、取引所はトークンベースの返済や業務再開を含む再建計画を本格的に進めることが可能となった。

WazirXの創設者ニシャル・シェッティ(Nischal Shetty)氏は、X(旧Twitter)で次のように述べ、支援への感謝を示した。

日本語訳:
WazirXの困難な局面を支えてくださった皆様、誠にありがとうございます。シンガポール高等裁判所がこの計画を承認しました。皆様のご支援とご厚意のおかげで、この事業は実現しました。私たちは次の段階へと進み、懸命に努力し、皆様に価値を創造していきます。私たちがここにいられるのは、皆様のおかげです。

ハッキングから信頼回復への道のり

この決定は、Safe Multisigウォレットの侵入による大規模な流出事件から約1年後の節目となる。

2024年7月の攻撃は、15万人以上のユーザーに影響を与えたほか、北朝鮮のハッカー集団Lazarus(ラザルス)との関連も指摘された。これにより、WazirXは出金を停止し、取引所全体が一時停止に追い込まれていた。

4月に提出された初期の再建案は、デジタル資産規制下でのリカバリートークンの扱いに関する不明確さから裁判所に却下されたが、その後の修正計画では法的懸念に対応。8月には債権者の約95.7%が賛成票を投じ、今回の裁判所承認により正式に再建が進められることとなった。

支払い時期と今後の展望

ニシャル氏は、利用者への返済は計画発効後10営業日以内に開始される見込みであると述べた。ただし、専門家の一部は慎重な見方を示している。

再編を監督する Kroll (クロール)社のジョージ・グウィー(George Gwee)氏は、実際の支払い開始までに2~3カ月を要する可能性を指摘した。

現時点でWazirXは返済スケジュールの詳細を明らかにしていないが、復旧作業が進行中であることを確認している。同取引所は、インド最大規模のハッキング事件を経て、ユーザー信頼の回復とエコシステム再構築に注力している。今回の裁判所承認は、単なる法的な節目ではなく、同社が再び透明性と信頼性を取り戻すための重要な一歩といえる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム