アスターを上場したバイナンス、取引の透明性に注目集まる

デジタル霧の中に浮かぶ幾何学的シルエットが、バイナンスを象徴的に描いた抽象アート。透明性と不確実性をテーマにしている。

バイナンスのアスター上場が呼ぶ透明性と市場影響

バイナンスは2025年10月6日(月曜日)、分散型永久取引所 Aster(アスター)のトークンASTERをスポット上場すると発表した。

発表直後、価格は1時間で10%以上上昇し、一時2ドル(約300円)台を回復。ウォッシュトレーディング疑惑が取り沙汰される中での上場発表に、市場では透明性やプロモーション手法を巡る議論が高まっている。

アスターのスポット上場と市場反応

バイナンスはASTERをテザー(Tether/USDT)、USDコイン(USDCoin/USDC)、トルコ・リラ(TRY)の3つのペアで上場した。

入金開始は9時UTC、取引は12時UTC、出金は翌日12時UTCを予定している。ASTERにはシードタグが付与され、初期段階でボラティリティ(価格変動差)やリスクが高い可能性があることが示された。

アスターはBinance Alphaからスポット市場へ移行した。スポット取引開始後はアルファでの上場前取引機能が停止し、アルファポイントの付与も終了する。ユーザーは24時間以内に保有資産をアルファからスポットへ移管する必要があり、アルファ経由での売却は引き続き可能とされた。

発表後、ASTERは約2.07ドルで取引され、24時間安値は1.78ドル、高値は2.06ドルとなった。取引量は数時間で約40%増加。デリバティブ市場では、先物未決済建玉が24時間で1%減の15億3,000万ドル(約2,334億円)となる一方、直近1時間ではバイナンス、OKX、Bybitでそれぞれ11%、8%、6%以上増加している。過去にはCZことジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏の推奨をきっかけに価格が1週間で1,500%以上上昇した経緯もある。

透明性とプロモーションを巡る論点

分析プラットフォームDeFiLlamaはAsterの永久取引データを上場廃止とし、報告量がバイナンスの取引量とほぼ一致している点を問題視した。

日本語訳:
私たちは Aster の取引量を調査してきましたが、最近その取引量は Binance Perp の取引量とほぼ正確に一致し始めています。左側の…

DeFiLlamaの開発者0xngmi氏は、Asterでは注文データの取得が制限されており、ウォッシュトレードの有無を検証できないと述べた。この動きでトークン価格は一時1.80ドルまで下落したが、2.00ドル付近まで回復している。

日本語訳:
コインを宣伝するために 250,000 ドルのオファーを受けたが、宣伝だと言うことは許されなかった。私はコインを…

また、インフルエンサーlynk0x氏は25万ドル(約3,800万円)のプロモーション提案を受けたと明かし、情報開示を求められなかったと主張した。複数のKOLが同様の提案を受けたとされ、報酬配分が「ダークプール」構造に類似していると指摘する声もある。

ムーンロックキャピタルのサイモン・デディック(Simon Dedic)氏は、アスターの誇大広告とインサイダー配分を批判。スープラのCEO(最高経営責任者)ジョシュア・トブキン(Joshua Tobkin)氏も「DEXというよりCEXに近い」と述べている。一方で上場前にクジラが1億1,800万ASTER(約412億円相当)を引き出しており、市場では依然として強気姿勢も見られる。

ビットワイズのアナリストであるマックス・シャノン(Max Shannon)氏は、DEX(分散型取引所)がCEX(中央集権型取引所)からシェアを奪えば、今後5年以内に年間取引量が20兆~30兆ドル(約3,051兆円~4,577兆円)規模に達する可能性を指摘した。

今回の上場は、分散型取引所の発展とその信頼性を問う象徴的な事例となっている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム