ストライプ、企業向けステーブルコイン発行プラットフォームOpen Issuanceを公開

企業向けステーブルコイン発行プラットフォームを象徴する未来的なデジタルネットワークのイラスト

企業主導の発行と管理をワンストップ化

決済大手ストライプ(Stripe)は、買収して統合した暗号部門「Bridge」を通じて、企業が自社のステーブルコインを立ち上げ、管理できる新プラットフォーム「Open Issuance」を発表した。

日本語訳:
Bridgeからのオープン発行のご紹介(ステーブルコイン)。わずか数行のコードで、独自のステーブルコインを起動して管理できます。

スマートコントラクトのカスタマイズや準備金の管理を備え、複数のブロックチェーンへの展開を効率化する。同じ仕組みで発行された他のコインとの相互運用性も前提とし、主要地域以外での幅広い導入を促進する。

Open Issuanceの中核機能

新サービスでは、数行のコードで発行と償還が可能になり、準備金の構成やセキュリティ設計も企業側で細かく決められる。

共有流動性ネットワークに直接アクセスできるため、中央集権型取引所を経由せずにオンチェーンでの即時1対1交換を想定する。インフラ側が準備金管理、コンプライアンス、セキュリティを担うことで、通貨発行までの期間を従来の数カ月から数日へ短縮する狙いだ。

このプラットフォームで発行されたトークン同士は相互運用を前提に設計され、ユーザーは単一のトランザクションで交換できる。サポートチェーンやスマートコントラクト機能、現金や米国債の比率など、コインの仕様は発行者が任意にカスタマイズできる。

初期採用とパートナー体制

ウォレット大手Phantom(ファントム)は1,500万人のユーザー向けに新ステーブルコイン「CASH」を発行。Open Issuanceを通じて発行されるコインの中核事例となった。

Native MarketsがHyperliquid向けに構築したUSDHや、MetaMask向けのmUSDに加え、Dakota、Slash、Lava、Takenosなどのプロジェクトもエコシステムに加わり、拡大を続けている。

準備金はBlackRock、Fidelity、Superstateが管理し、Lead Bankが流動性のための現金を保有する。BridgeのオーケストレーションAPIは、事実上あらゆるステーブルコインへの低コスト変換を備えるほか、発行したコインへの報酬機能も提供し、企業は獲得分をユーザーインセンティブに回せる。

市場インパクトとねらい

Open Issuanceは、TetherCircleなど少数の発行者に依存してきた市場構造への代替案として位置づけられる。

ストライプは、手数料やロードマップ変更といった外部要因に左右されず、発行効果を企業自身に帰属させることを狙う。Bridgeのザック・エイブラムス()共同創業者兼CEO(最高経営責任者)は次のように述べている。

資金移動がビジネスの中核を成すのであれば、ステーブルコインを活用すべきです。しかし、他者のコインを基盤に構築してはいけません。Open Issuanceを活用すれば、企業は自らがカスタマイズ・管理するステーブルコインを基盤に構築できるため、この重要なテクノロジーの恩恵は、それらを利用する人々や企業に直接もたらされます。

ストライプは、Optimized Checkout Suiteでステーブルコイン決済をデフォルト受け入れとし、定期課金の受け入れや法定通貨への両替、カード利用、国境を越えたウォレット送金にも対応させる。Open Issuanceは自社イベント「Stripe Tour New York」で発表された40以上の新機能の一部でもあり、AI活用を含む周辺プロダクトとも連動していく方針だ。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム