スイスボーグ、API脆弱性突かれソラナ資産4100万ドル流出

スイスボーグのハッキング事件を象徴するスタイリッシュなイラスト。ソラナを表すコインとサイバー攻撃のイメージ

サプライチェーン攻撃の余波で被害

スイスに拠点を置く仮想通貨管理プラットフォームのSwissBorg(スイスボーグ)は、2025年9月8日(月曜日)にパートナーAPIの脆弱性を突かれ、19万2,600SOL(約60億円)を失った。

同社は即日Xで声明を発表し、コアシステムや他のサービスに影響はなかったと説明した。

被害はオンチェーン調査会社ZachXBTが最初に確認し、盗まれた資産はSolscan上で「SwissBorg Exploiter」とラベル付けされたウォレットに移された。今回の事件は、外部APIに依存するサービスのリスクを浮き彫りにし、業界に大きな波紋を広げている。

被害と補償対応

流出額はスイスボーグのソラナ(Solana)準備金7,260万ドル(約107億円)の半分近くに相当する。

ただし直接影響を受けたユーザーは全体の1%程度にとどまり、他のEarn商品やアプリは被害を免れた。同社は直ちに補償計画を発表し、自社資金を用いて顧客への返金を行う方針を示した。サイラス・ファゼル()CEO(最高経営責任者)は「悪い日ではあったが致命的ではない」と述べ、財務基盤の健全性を強調した。

さらにFireblocksやSolana Foundation、ホワイトハットハッカーらと協力し、流出資産の追跡を進めている。不正取引の一部はすでにブロックされており、今後はリスク監視とセキュリティ体制の強化を進めるとしている。

広がるセキュリティ懸念

事件は同時期に発生した大規模なサプライチェーン攻撃とも重なり、仮想通貨業界全体に警戒を促している。

Ledgerのチャールズ・ギルメット(Charles Guillemet)CTO(最高技術責任者)は、NPMアカウントの侵害により10億回以上ダウンロードされたパッケージに悪意あるコードが混入した可能性を指摘し、取引を控えるよう警告した。メタマスク(MetaMask)の開発者は顧客への影響は現時点で確認されていないとしつつ、注意を呼びかけている。開発者のRezo氏は、ソフトウェア実行環境のリスクを回避するためハードウェアウォレットの利用を推奨した。

スイスボーグは影響を受けた顧客に全額補償を行う姿勢を示しており、その透明性は一定の評価を得ている。ただし今回の一件は、ステーキングやDeFi(分散型金融)サービスに存在するAPI依存リスクを改めて突き付けるものとなった。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム