ワジールX再編計画、95.7%の支持獲得で再建へ前進

ワジールXの再編計画が裁判所承認を待つ様子を象徴するイラスト

ワジールX再編計画の全体像

インドの大手仮想通貨取引所ワジールX(WazirX)が進める再編計画は、債権者投票で賛成95.7%を獲得した。

計画はシンガポールの裁判所の承認を待つ段階で、承認後は制度発効から10営業日以内の再始動を見込む。2025年7月30日から8月6日に実施された修正案の再投票には149,559人が参加し、143,190人が賛成。件数ベースの承認率は95.7%、金額ベースでは94.6%。対象となった債権総額は2億690万ドル(約304.8億円)で、このうち1億9,575万ドル(約2888.4億円)相当が賛成に回った。

これにより、シンガポール会社法第210条(3AB)が定める「債権者数の過半数」および「債権総額の少なくとも75%」という要件を大きく上回り、前回投票と比べると、件数ベースで2.7%増加、金額ベースで0.1%未満の増加となっている。

親会社のZettai Pte Ltdは、Alvarez & Marsalのジョシュア・テイラー(Joshua Taylor)氏とヘンリー・アンソニー・チェンバース(Henry Anthony Chambers)氏を独立評価者に指名し、全投票を検証した。評価結果はZettaiとスキームマネージャーに提出され、投票の完全性と結果の正当性が確認された。

背景とこれまでの経緯

ワジールXは2018年にニシャル・シェッティ(Nischal Shetty)氏らが設立。2024年7月には北朝鮮のハッカー集団「ラザルス・グループ」による攻撃で資産5億ドルのうち2億3,000万ドル超を失う被害が発生し、多くの利用者が資金アクセスを喪失した。

これを受け、インドでは訴訟が提起され、シンガポールでは再建に向けた手続きが進行した。親会社のZettaiはシンガポール高裁に債権者保護を申請し、2024年9月に4カ月のモラトリアム(※支払猶予)が認められた。その後、2025年6月下旬に再審請求を行い、裁判所が追加の主張を認めてモラトリアムを延長。2025年8月までに再編計画の再投票を命じられた。

裁判所承認プロセスと今後の見通し

Zettaiは独立検証を踏まえ、裁判所に修正スキームの認可を申立てる。申立て受理後は、法的書類の写しが債権者に共有される。

裁判所は投票結果、債権者保護、回収メカニズムの妥当性を審査し、承認可否を判断する。回収金の分配は金融情報ユニットの監督下でザンマイ・インディアが担う予定。計画が承認されれば、ワジールXは制度発効から10営業日以内に取引再開の準備を整える。

インドではBinanceとの所有権を巡る争いが続いており、デリー高裁は2025年8月5日に運営者へ買収契約書原本やシンガポール訴訟資料の提出を命じた。

RBI(インド準備銀行)やSEBI(証券取引委員会)など規制当局には監督の明確化が求められ、債権者はハッキング事件の特別調査チーム設置を要望している。次回の主要審理は2025年8月26日に予定される。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム