コネチカット州、州政府の仮想通貨保有を全面禁止

コネチカット州議会の建物と仮想通貨禁止を象徴するビジュアル

コネチカット州が仮想通貨の公的活用に歯止め

米国コネチカット州で、州政府による仮想通貨の準備金保有や支払い利用を禁止する法律が成立した。

ネッド・ラモント(Ned Lamont)州知事は法案「HB 7082」に署名し、州政府および地方自治体による仮想通貨の購入や投資を含む一切の活用を禁止した。

この法案は2025年2月に州議会議員ジェイソン・ドゥセッテ(Jason Doucette)氏が提出。仮想通貨の価格変動リスクや不確実性への懸念を背景に導入され、上下院を通過して6月30日に成立した。多くの条項は同年10月1日に発効予定となっている。対象は州および地方自治体で、税金支払いに仮想通貨を受け入れることや、準備金として保有・投資することも禁じられ、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)などの分散型資産に加え、中央集権型トークンなども対象に含まれている。

今回の措置により、コネチカット州は公的資金に仮想通貨を一切組み込まない方針を明確に示し、消費者保護と財政リスクの回避を優先する姿勢を打ち出した。

規制強化と新たな義務の導入

HB 7082は仮想通貨の禁止だけでなく、送金法の見直しや仮想通貨関連事業への新たな規制も盛り込んだ包括的な法案となっている。

他者のために仮想通貨を保有・送金する事業者には、銀行や信用組合などを除きライセンス取得が義務づけられる。取得者は承認されたカストディアンの利用や、準備金の全額保持、顧客資産の使用制限と情報開示など、厳格な管理体制を求められる。また、仮想通貨キオスクについても1日あたりの取引上限が定められ、新規顧客は2,000ドル(約287,000円)、既存顧客は5,000ドル(約718,000円)までに制限される。さらに、運営者は専任のコンプライアンス担当者を置き、ライブカスタマーサポートを提供することが求められる。

なお、これらの規制はあくまで公的・業務的な立場に適用されるもので、一般市民や自治体職員の個人的な仮想通貨の利用は制限されない。

他の州と分かれるスタンス

コネチカット州の法整備は、仮想通貨を積極活用する州の動きとは対照的だ。

アリゾナ州では、ケイティ・ホッブス(Katie Hobbs)知事がビットコイン活用を認める一部法案に署名しており、テキサス州やニューハンプシャー州でも準備金の導入が進められている。一方、サウスダコタ州やモンタナ州、ペンシルベニア州では法案が成立せず、州ごとに温度差があるのが実情だ。

連邦レベルでは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が「戦略的ビットコイン準備金」の創設に関する大統領令に署名し、国としての保有拡大を模索しているとの動きもある。こうした中でコネチカット州の禁止法案は、仮想通貨導入に慎重な立場を象徴的に示したものであり、今後も他州との違いが際立っていく可能性がある。

この法案にはリスク回避の観点から支持する声がある一方で、国内イノベーションを阻害するとして懸念を示す声もあり、評価は分かれている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム