仮想通貨取引所OKX、米国での株式公開を模索
仮想通貨取引所OKXが米国市場に再参入し、同国でのIPO(新規株式公開)を検討していることが明らかになった。
DOJ(米国司法省)との和解により米市場への足がかりを得た同社は、今後の事業拡大を視野に入れた戦略の一環として、上場の可能性を探っている。
OKXは2月に、マネーロンダリング(資金洗浄)対策違反などを巡る罪状を認め、DOJと約5億500万ドル(約730億円)で和解した。これにより4月には米国市場での業務を再開し、和解には、制裁回避に関する指摘への対応も含まれており、同社はこれを機に米国での信頼回復を図った。
事業再開後、OKXはカリフォルニア州サンノゼに新本社を設立。ウォール街出身のロシャン・ロバート(Roshan Robert)氏を米国CEO(最高経営責任者)に任命し、IPOによる資金調達とブランド強化が視野に入っている。
上場ブームと米国市場の魅力
仮想通貨業界ではコインベース(Coinbase)やサークル(Circle)などがすでに米国証券市場に上場しており、OKXもこれに続く動きを見せている。
OKXはIPOの可能性を真剣に検討しており、機関投資家からの資金調達の拡大と、成熟しつつある米国市場での地位向上を目指しているという。一部では、OKXが米国部門の「分割上場(スピンオフ)」を検討している可能性も指摘されている。ただし、現時点では上場の時期や証券取引所など詳細は未定。同社幹部は「将来的なIPOは常に選択肢として考えている」と語っている。
同社は、Circleをはじめ仮想通貨関連企業のIPOが相次ぐ中、この流れに乗るかたちで自社の上場も現実的な選択肢とみなしている。
欧州とアジアにおける事業展開
米国市場への注力と並行し、OKXは欧州での規制対応にも注力している。
6月には、ドイツとポーランドで完全認可を取得した取引プラットフォームを開設し、EU(欧州連合)域内でのプレゼンスを強化。米国と欧州の同時展開は、コンプライアンス重視の成長戦略を象徴している。一方、アジアでは逆風も吹いている。タイでは証券規制当局からの指摘により、市場撤退を余儀なくされる可能性もあり、こうした規制リスクが米国市場への注力を後押ししているとみられる。
IPOが実現すれば、OKXにとっては資金調達に加え、透明性や信頼性の向上にも寄与するだろう。
なお、ウィンクルボス(Winklevoss)兄弟が設立した仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)も、非公開でSEC(米証券取引委員会)にIPO申請書を提出したと報じられている。こうした動きからも、米国における規制環境の明確化が、業界大手にとっての上場機運を高めていることが読み取れる。