イーサリアム財団、トルネードキャッシュ防衛に最大75万ドルを拠出

イーサリアム財団のロゴと建物を描いたイラスト、トルネードキャッシュ開発者支援に関連するビジュアル

プライバシーと開発者の自由を擁護、共同創設者ローマン・ストーム氏を支援

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)は、仮想通貨ミキシングサービス「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)」の共同創設者ローマン・ストーム(Roman Storm)氏の法的弁護費用として50万ドル(約7,200万円)を寄付したと発表した。

加えて、同氏を支援するコミュニティからの寄付に対して、最大75万ドル(約1億円)のマッチングを行うことを表明。合計で最大125万ドル(約1.8億円)の資金がストーム氏の防衛に充てられる。

マネロン関与で起訴、開発者の責任が問われる

ストーム氏は、マネーロンダリング(資金洗浄)および米国制裁法違反などの容疑で米司法省から起訴されており、裁判は7月14日にニューヨークで開始される予定。

米当局は、トルネードキャッシュが北朝鮮のハッカー集団「ラザルス・グループ」による資金洗浄にも利用されたと主張。一方、弁護側は、トルネードキャッシュは誰もが利用可能なオープンソースのスマートコントラクトであり、特定の開発者を法的に責任追及するのは不当だと反論。「プライバシーは普通のことであり、コードを書くことは犯罪ではない」と、イーサリアム財団はX上での投稿で開発者の自由を擁護する姿勢を示した。

Web3業界の将来を左右する試金石に

ストーム氏の弁護費用は合計200万ドル(約2.9億円)に上るとされており、今回の財団の支援はその一部を賄うことになる。

トルネードキャッシュに対する制裁は2025年3月、OFAC(米国財務省外国資産管理局)により解除されたが、ストーム氏への訴追は現在も続いている。「私は戦っているが、その重圧に耐えられない。これは私の終わりではなく、私たちの終わりでもある」とストーム氏はX上で心境を吐露し、今回の裁判がDeFi(分散型金融)業界全体に与える影響の大きさを訴えた。

この訴訟には、Coin CenterBlockchain Associationなどの権利擁護団体、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏やParadigm(パラダイム)の共同創業者マット・フアン氏(Matt Huang)なども支援を表明している。

また、イーサリアム財団は5月、トルネードキャッシュのもう一人の開発者で、オランダでマネーロンダリング容疑に問われたアレクセイ・ペルツェフ(Alexey Pertsev)氏に対しても125万ドル(約1.8億円)の法的支援を行った。

ストーム氏の裁判の行方は、Web3開発者の刑事責任、表現の自由、そして金融プライバシー保護をめぐる国際的な議論の重要な前例となる可能性がある。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム