バーゲン郡、アバランチで2,400億ドル分の不動産証書をトークン化

ブロックチェーンと郊外の住宅街を背景に、不動産トークン化を象徴するゴールドコインと家のアイコン

米地方自治体による史上最大規模の不動産デジタル化が始動

ニュージャージー州バーゲン郡が、Avalanche(アバランチ)ブロックチェーンを活用して約2,400億ドル(約34.5兆円)分の不動産証書をトークン化する取り組みを開始した。

Avalancheによると、このプロジェクトは州内の複数の自治体と連携して進められており、米国史上最大の登記デジタル化プロジェクトと位置づけられている。

土地登記管理を担うBalcony社は、バーゲン郡と5年間の協力に合意し、約37万件の登記記録をAvalanche上のデジタルトークンとして管理する。同社によると、自社プラットフォームは登記手続きにかかる時間を最大90%短縮できる可能性がある。

バーゲン郡はニューヨーク市の対岸に位置し、ニュージャージー州最大の人口を抱える。年間約5億ドル(約719.5億円)の固定資産税を徴収。今回導入される新システムにより、登記記録の透明性と検索性が向上し、郡内70の自治体すべてでの利用が見込まれている。

また、記録の改ざん防止や詐欺の抑制、所有権トラブルの解消、人的ミスの削減といった効果も期待されている。

不動産証書のトークン化と投資エコシステムの連携

このプロジェクトは、不動産トークン化アプリ「Mogul」との連携によって進められている。

Mogulは住宅所有者が不動産をデジタル証書としてブロックチェーン上に登録し、所有権の移転や確認を効率的に行える仕組みを提供する。同社は2023年に設立され、現在は2,200万ドル(約31.6億円)以上の資産を管理。Ava Labsと連携し、ステーブルコインを活用した不動産投資プラットフォーム「Mogul Club」も展開中だ。

このクラブでは、投資家がテザー(Tether/USDT)や電信送金で資金を提供し、不動産を所有するLLCの分割メンバーシップ権益を表すNFT(非代替性トークン)を受け取る。これらのNFTはMogul専用のERC-1155互換スマートコントラクトで発行され、所有権の記録、収益の分配、ガバナンス投票などがチェーン上に記録される。

投資対象は厳しい審査を通過した物件に限られ、掲載率は全体の1%未満。平均10~12%のキャッシュ・オン・キャッシュ・リターンに加え、IRR(内部収益率)は18.8%に達している。最低投資額は250ドル(約36,000円)と、免許不要で参入しやすいのも特徴だ。

Avalancheの特性と公的インフラへの応用

Avalancheが採用された理由には、高速処理性能、低手数料、柔軟なスマートコントラクト対応がある。

今回のプロジェクトでは、バーゲン郡の登記データがセキュアかつ改ざん不可能な形で記録される。Ava Labsルイージ・ドノリオ・デメオのCEO(最高経営責任者)は「Avalancheは政府サービスの現代化に最適な基盤」と述べており、機密性の高い公共情報を安全かつ迅速に処理できる点を評価している。

この取り組みが成功すれば、他の郡や州にも波及し、不動産管理におけるブロックチェーン活用が標準化される可能性がある。公的資産のトークン化と分散型技術の実装が現実となる、重要なステップといえる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム