イーサリアム「Pectra」アップデートが完了
イーサリアム(Ethereum)は、2025年5月7日(水曜日)、最新のネットワークアップグレード「Pectra」をメインネットに実装した。
今回のアップグレードは、複数のEIP(Ethereum Improvement Proposal)を含み、特にウォレット操作の簡素化やスケーラビリティの向上に焦点を当てている。
ユーザーにとっては、より直感的で使いやすいトランザクション体験が可能となり、開発者側も柔軟なアプリ設計がしやすくなる。Pectraは今後のEthereum進化の一部として重要なマイルストーンと位置づけられている。
主なアップグレード内容と技術的ポイント
Pectraは「Prague」と「Electra」の2ブランチを統合した名称で、ネットワークの性能と利便性を同時に強化することを目的としたアップグレードである。
今回のアップグレードには、EIP-7702やEIP-7251など複数の提案が含まれており、ウォレットの操作性向上やネットワーク運用の効率化が図られている。一部ではEIP-3074の機能も取り上げられており、ウォレットにスマートコントラクトのような挙動を与える可能性が指摘されているが、全体としては複数の仕様が併用されている形となっている。
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— Base (@base) May 7, 2025
この内容は、イーサリアム公式が5月7日に公開したポストでも示されており、スマートアカウントUXの改善、L2スケーリングのデータブロブ倍増、バリデーターUX向上が主要項目として確認されている。
複雑な操作をせずとも複数の署名・承認が一括で実行できるようになり、操作性が大きく向上する。ただし、ウォレットの操作権限を他者に委任する設計であるため、悪意あるスマートコントラクトに対して署名してしまうリスクも指摘されており、ユーザーには注意が求められる。また、開発者は柔軟で直感的なUI設計が可能になり、Web3アプリの体験向上にもつながる。
ユーザー・開発者双方にメリット、今後の展開にも注目
Pectraの導入により、ユーザーは取引の効率化とガス代軽減という実用的な恩恵を受けられるようになった。
EIP-7702や他の改良により、承認の簡略化や複数操作の効率的な処理が可能となり、ユーザー体験の改善が進んでいる。開発者にとっても、EVMの拡張によってより自由度の高いアプリケーション設計が可能になり、Ethereum上でのプロダクト開発の柔軟性が大きく向上する。
今後もEIPの段階的な導入が予定されており、イーサリアムネットワークはさらなる機能強化と最適化に向けて進化を続けていく。また、EIP-7251により、バリデーターのステーキング上限が32 ETHから2,048 ETHに引き上げられ、大口オペレーターの効率的な運用が可能になった点も注目されている。Pectraはその流れの中で、基盤となるアップグレードといえるだろう。