サークル社、リップル社の40~50億ドルの買収提案を拒否

サークルがリップルの買収提案を拒否する様子を象徴したイメージ

サークル社がリップル社の40~50億ドルの買収提案を拒否

米ステーブルコイン発行企業のサークル(Circle)社が、リップル(Ripple)による40億~50億ドル(約5,814.6億円~7,267.6億円)規模の買収提案を拒否していたことが、複数の報道により報じられた。

提案は、サークルがIPO(Initial Public Offering:新規公開仮想通貨)申請をした直後のタイミングで行われたとみられており、サークルはこれに応じず、自社の戦略を優先する道を選んだという。

買収交渉の背景とその後の展開

サークルは4月初めにSEC(米国証券取引委員会)へIPO申請をしており、企業価値や将来戦略に注目が集まっていたタイミングでの買収提案となった。一方、リップルはXRP関連の訴訟問題を抱えつつも、新たな収益源の確保を急いでおり、USDCを手がけるサークルの買収によってステーブルコイン市場に本格参入する足掛かりを得ようとしたとみられる。

リップルは、サークルのUSDC事業およびステーブルコイン市場における存在感を高く評価し、買収を持ちかけたが、サークルはこの提案に応じることなく、独自の成長戦略を優先する姿勢を貫いた。その後もIPOに向けた準備を継続しており、米国最大級のステーブルコイン発行企業としての立場を維持している。

リップルとサークルの路線の違い

両社の事業モデルや市場戦略は大きく異なり、リップルはXRPレジャー(XRPL)と呼ばれる独自ブロックチェーンを基盤に、国際送金ネットワークを拡大し、企業や金融機関向けのインフラ構築に力を入れている。

また、ステーブルコイン発行にも関心を示しており、今回の買収提案は自社エコシステムの強化を目的とした動きとされる。一方でサークルは、USDCの透明性と規制順守を最重視しており、伝統的な金融市場との橋渡し的な役割を担ってきた。USDCは米ドル建て資産により100%裏付けられ、資産はBNYメロンにより信託保管され、BlackRock(ブラックロック)が運用を行っている。

2025年4月時点で、USDCの市場規模は約615億ドル(約8.9兆円)に達しており、準備資産の運用益などを含めた年間収益は16.8億ドル(約2,441.8億円)に上った。財務の健全性や成長の裏付けとなるこれらの実績が、サークルの独立戦略を支える大きな要因となっている。

リップルの買収提案を退けた背景には、こうした安定した経営基盤と上場を見据えた明確なビジョンがあると考えられる。今回の動きは、両社がそれぞれの強みを生かしながら競争を続ける構図を鮮明にしており、ステーブルコイン業界における再編や勢力図の変化を象徴する事例として注目されている。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム