ナイキのRTFKT NFT崩壊、500万ドル規模の集団訴訟に直面

ナイキRTFKTのスニーカーと崩れたイーサリアムロゴのリアルタッチ画像

RTFKTのNFT消失問題、ナイキに500万ドル訴訟の波紋

ナイキ(Nike, Inc.)傘下のデジタルファッションブランド「RTFKT」が提供していたNFTコレクションにおいて、アートワークが消失する問題が発生した。

この影響により、NFT購入者たちは500万ドル(約7億円)規模の集団訴訟を起こし、ナイキに対する責任追及を進めている。RTFKTのトラブルはNFT業界全体にも波紋を広げつつある。

問題となったのは、RTFKTが提供していたNFTコレクションで、これらのアートワークは中央サーバーに依存して保存されていたが、サーバーのダウンやリンク切れにより、NFTの画像が閲覧できない状態に陥った。特に分散型ストレージに保存されていないNFTが大きな影響を受けた。

RTFKTの技術責任者が経緯を説明、復旧作業も進行中

NFTコレクターたちの批判を受け、RTFKTの技術責任者であるサミュエル・カルディージョ(Samuel Cardillo)氏が状況を説明した。

同氏によれば、問題はCloudflareの有料プラン契約が予定より早く終了し、インフラが無料プランへ移行されたことに起因する。この移行により、Cloudflareの仕様上、画像や動画の配信が停止され、NFTアートワークの表示が不可能になったという。

また、インフラ移行は以前から議論されていたが、内部プロセスの遅延により正式な移行作業が後ろ倒しになっていたことも明かした。現在、CloneXおよびAnimusコレクションのデータを分散型ストレージネットワークArweaveに保存する作業が進められている。

集団訴訟が浮上、NFT業界全体にも影響

この問題を受け、購入者たちはナイキおよびRTFKTに対して500万ドル規模の集団訴訟を提起した。

訴状では、「デジタル所有権」が保証されたにもかかわらず、アートワークの消失によって資産価値が損なわれたと主張。原告側は、ナイキの監督責任や消費者に対する誤認表示を問う姿勢を強めており、原告側は、ナイキによるプロジェクトの終了がNFTの価値に深刻な影響を与えたと主張している。

今回のRTFKT問題は、NFT業界全体にとっても重要な警鐘となっている。NFTのアートワークやメタデータが中央集権的に管理される場合、消失リスクが常に伴うことが改めて浮き彫りになった。過去にも、Nifty GatewayでのNFT音楽アルバム消失や、FTX破綻によるNFTデータ消失など、同様の問題が発生している。

NFTの本来の理念である「分散型所有」を再確認すべきとの声が高まっており、今後はIPFSやArweaveといった分散型ストレージの活用を前提とした設計が求められる。今回の訴訟の行方によっては、NFTプロジェクト運営に対する規制強化やガイドライン整備が進む可能性もあり、業界全体にとって大きな転換点となるかもしれない

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム