ロシア財務省がルーブル連動ステーブルコインの創設を検討
ロシア財務省高官は、同国は独自の法定通貨=ルーブル(рубль/ruble:RUB)に裏付けられたステーブルコインの導入を検討すべきだと述べた。
大手メディアロイター通信の2025年4月16日(水曜日)付け報道によると、ロシアは、米ドルにペッグされた人気ステーブルコイン「テザー(Tether/USDT)」がロシアユーザーと連携したウォレットを凍結した最近の出来事を受け、独自ステーブルコインを発表すべきだという。当局者は、ステーブルコインをUSDTやUSDCといったドルに連動したトークンへの依存を減らす手段と捉えており、実際に発表された場合、これらのステーブルコインは他の通貨にペッグされる可能性がある。
問題となっているこの出来事は、USDT発行元であるテザーが、EU(欧州連合)の制裁対象となったロシアの仮想通貨取引所が所有するロシア関連のデジタルウォレットをブロックしたという報道に関連。財務省金融政策局のオスマン・カバロエフ(Osman Kabaloev)副局長は、このブロックを受けて、ロシアは「国内対策」を検討すべきだと主張。同氏は16日のコメントで次のように述べている。
最近のブロックを受け、USDTに類似した、おそらく他の通貨にペッグされた内部ツールの開発を検討する必要があると考えている。
金融規制強化に直面するロシアでステーブルコイン競争参入のチャンス
テザーは2025年3月初旬、ロシアの仮想通貨取引所Garantex(ガランテックス)のUSDTウォレットをブロックし、2,800万ドル(約40億円)相当のUSDTを凍結した。
Garantexはこの影響で一時的に全サービスを停止。さらに4月初旬に米国財務省は、OFAC(米国財務省外国資産管理局)を通じて、Garantexが指定テロ組織フーシ派の取引を助長していると警告したうえで、同取引所の8つのアドレスに制裁を科している。
ロシア財務省関係者の発言は、金融規制の強化に直面している同国にて、ステーブルコインが決済エコシステム全体でますます普及する中でなされた。また、EU全域で仮想通貨市場に関する規則が制定され、現在米国議会で審議中の新たなステーブルコイン法案に至るまで、ステーブルコインに対する規制の注目が高まっている状況も踏まえての発言である。
注目すべき点は、制裁措置が続く中、ロシア企業が決済手段として仮想通貨を検討していると報じられていることだ。同国は国際決済における仮想通貨の利用を支持しており、これは同国における仮想通貨に好意的な動きの一つである。ロシアにとって、今こそステーブルコイン競争に参入する絶好の機会となる事が予想されている。
ロシア中央銀行のエルビラ・ナビウリナ(Elvira Nabiullina)総裁は、国内決済における仮想通貨の利用に依然として反対しているものの、複数のロシア企業が政府主導の試験運用の一環として、国際的な仮想通貨送金をテストしている。米国による継続的な関税措置と中国との貿易関係悪化により、米ドルは世界的な圧力にさらされており、高関税を課されている国々は既に脱ドル化を検討している。