MakersPlace(メーカーズプレイス)デジタルアート事業を終了へ
2018年に設立されたデジタルアートプラットフォームMakersPlace(メーカーズプレイス)が、約6年間にわたるデジタルアート事業を終了すると発表した。
同プラットフォームはNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスとして、アーティストやコレクターがデジタルアート作品を作成、購入、販売できる環境を提供していた。しかし、NFT業界の継続的な課題と追加資金の確保の難しさから、この決定に至った。この動きは、NFT市場全体の低迷と関連しており、業界に大きな衝撃を与えている。
DappRadarより引用
NFT市場の低迷とMakersPlaceの撤退理由
NFT市場の低迷は、多くのマーケットプレイスの営業停止を引き起こしている。
2023年には、スタートアップのRecur(リカー)が仮想通貨市場の不振を理由にシャットダウンを発表し、Voice(ヴォイス)も規制の不確実性から事業を終了している。また、GameStop(ゲームストップ)やKraken(クラーケン)のNFTマーケットプレイスも撤退を余儀なくされている。
2024年の取引量は2023年比で19%減少し、売上は18%減少した。第1四半期の53億ドル(約8,219億円)から第3四半期には15億ドル(約2,326億円)まで落ち込む一方で、第4四半期には26億ドル(約4,032億円)にわずかに回復した。それでも、Animoca Brands (アニモカ・ブランズ)の会長ヤット・シウ(Yat Siu)氏は「NFTは復活する」と信じており、未来への期待を抱いている。
MakersPlaceが撤退に至った理由
MakersPlaceは、新規アカウントの作成やトークン発行を即時停止し、既存アート作品の購入を期間限定で可能にした。
ユーザーには資産を自社ウォレットに移管するよう勧告し、2025年2月にはアップグレードされた移管機能を導入する予定で、同社は「NFT市場の変化により事業継続が困難」と述べ、競争の激化や収益性の低下を撤退の主な理由として挙げている。また、アーティストやコレクターの資産移転を支援し、従業員には退職金を保証すると発表した。
デジタルアート業界への影響
MakersPlaceの撤退は、アーティストやコレクターに大きな影響を及ぼしている。
アーティストは新たな収益モデルを模索する必要があり、コレクターは購入した作品の価値下落リスクに直面している。この撤退は、NFT市場が成長から衰退へ転じた象徴的な出来事でもあり、一時期は数十億ドル規模に成長した市場も、持続可能な収益モデルを欠くプラットフォームが増えている状況を反映している。
NFT市場の未来とその可能性
NFT市場が完全に消滅するわけではなく、今後は、投機的取引に依存せず、長期的な価値を提供するプロジェクトや、ユーザー体験を重視したサービスが求められるだろう。
また、デジタルアート自体は依然として可能性を秘めており。NFT以外の形での作品発表や、Web3技術を活用した新たな収益モデルの開発が進むことが予想される。これにより、アーティストが新しい市場で活躍する道が開かれる可能性がある。さらに、現在注目を集める新興チェーン「Abstract」「Bera」「Monad」は、それぞれ独自の技術と特徴を持ちながらNFT市場の進化に寄与している。
- Abstractは、抽象化された設計思想を基盤に、高い汎用性を持つプロトコルを提供し、既存のアプリケーションやサービスの統合を支援している
- Beraは、EVM互換の高性能ブロックチェーンで、トリプルトークン設計や分散型金融(DeFi)への最適化を特長としている
- Monadは、10,000TPSのスループットや1秒のファイナリティタイムを実現し、NFTやDeFiに最適化された革新的なプラットフォームを提供している
これらの新興チェーンが市場の基盤を再構築し、NFTの取引環境をさらに改善することで、デジタルアート市場は新たな成長期を迎える可能性がある。
MakersPlaceの撤退は、NFT市場の課題と可能性を改めて浮き彫りにした重要な出来事であり、市場の成長を支えてきたプラットフォームが撤退する一方で、新たな方向性を模索するチャンスが生まれている。仮想通貨やブロックチェーン技術の進化とともに、デジタルアートとNFTがどのように発展していくのか注目される。