TRUMPにインサイダー取引の疑惑が浮上
トランプ氏が名前を冠したミームコイン「TRUMP」が、ソラナ(Solana)のDEX(分散型取引所)で注目を集めるその背後で、インサイダー取引の疑惑が浮上しており、仮想通貨市場全体に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
トランプミームコイン「TRUMP」は、ソラナのDEXで取引が開始されるやいなや、瞬く間に価格が急騰した。少数の投資家が流動性プールを利用して大量購入を行った結果、価格が数時間で数倍に跳ね上がった。この動きにより、一部の投資家が莫大(ばくだい)な利益を得る一方で、遅れて参入した投資家は大きな損失を被った。
このような急激な価格変動は、仮想通貨市場のボラティリティの高さを象徴している。一時は時価総額が140億ドル(約2兆円)近くにまで達するほどの注目を集めたが、その後、競合するミームコイン「MELANIA」の発表により価格が急落した。この下落は、「TRUMP」が短期的な投機対象であることを改めて浮き彫りにした。
SNSでの投稿と批判の声
トランプ氏は、自身のSNSプラットフォームTruth Socialで「TRUMP」に関する発表を行いTruth SocialやXでミームコインに関する声明を発表し、一部の投資家にとってさらなる関心を引き寄せたが、同時に批判も招いた。
著名な仮想通貨評論家であるフィンダイゼン氏は、「TRUMP」の発表を「政治的な盛り上がりを利用した冷笑的な試み」と批判。特に、本日(2025年1月20日)の大統領就任式を控えたタイミングでのリリースが、意図的に利益を狙ったものだとの見方を示している。
インサイダー取引疑惑の実態と調査結果
オンチェーン分析会社Bubblemaps(バブルマップス)によると、トークンが正式に発売される4時間前に、100万ドル(約1.5億円)が資金提供されたウォレットが特定された。
suspicious trades on $TRUMP? 🚨
address 6QSc2 was funded 4 hours before launch and bought $1M in the FIRST minute
they sold $20M and still hold $96M 🧵 pic.twitter.com/BvCghd4EOr
— Bubblemaps (@bubblemaps) January 18, 2025
アドレス6QSc2はローンチの4時間前に資金調達され、最初の1分で100万ドルが購入されました。
彼らは2,000万ドルを売却し、まだ9,600万ドルを保有している
このウォレットは、ローンチ直後に590万ドル(約9.2億円)相当のトークンを購入し、その後2,000万ドル(約31億円)相当を売却。さらに9,600万ドル(約149.5億円)相当のトークンを保持していることが明らかになった。
A wallet named "LeBron" earned over $2M on $TRUMP just now!#Trump launched a meme coin, $TRUMP, on his truth social account (account theft is not ruled out).
LeBron spent 1M $USDC to buy 4.52M $TRUMP 2 minutes after #Trump's post, and then sold 4.12M $TRUMP for 2.49M $USDC,… pic.twitter.com/TwdS0XdwlR
— Lookonchain (@lookonchain) January 18, 2025
「LeBron」という名前のウォレットがたった今TRUMPで200万ドル以上稼ぎました!
Trump自身の真実のソーシャルアカウントでミームコインTRUMPを立ち上げた(アカウント盗難の可能性は排除されない)。
レブロンは、Trumpの投稿から2分後に 00万USDCを費やして452万TRUMPを購入し、その後412万TRUMPを249万USDCで売却し、40万TRUMP(560K)が残り、200万ドル以上の利益を上げました。
これに加え、LookonChainの調査では、「LeBron」という名のウォレットが、ローンチ直後に452万トークンを購入。100万ドルのUSDコイン(USD Coin/USDC)を200万ドル(約3億円)に増やすという利益を上げていた。
フィンダイゼン氏の指摘
フィンダイゼン氏は、トークンの総供給量の80%がトランプ陣営の所有であり、一般投資家に公開されているのはわずか20%だと指摘している。
この20%のうち10%は流動性プールに、残りの10%は一般割り当てに回されている。さらに、80%のトークンは3年間にわたりロックアップされる予定だが、この期間がトランプ氏の大統領就任時期と重なることで、搾取的な行為が助長される可能性があると懸念を示している。
仮想通貨市場全体への規制強化の可能性
ボラティリティのリスクと規制強化の可能性このような事件は、仮想通貨市場全体の信頼を損ねる危険性を持つ。
また、インサイダー取引や価格操作が疑われる事例が続くことで、規制当局が市場への介入を強化する動きが加速する可能性がある。特に米国では、SEC(米国証券取引委員会)がこの種の問題に厳しい姿勢を示しており、仮想通貨市場全体の自由度が制約されるリスクが懸念されている。特に、インサイダー取引が露骨に行われることで、「仮想通貨は不正取引の温床」というイメージが強まりかねない。
一方で、規制当局がこれを口実に市場全体への介入を強化する可能性もあり、真摯(しんし)に技術革新を目指すプロジェクトにとって、こうした問題が規制の過剰強化を招くのは避けたいところだ。
今回のミーム騒動から見える課題
トランプミームコインの急成長とインサイダー取引疑惑は、仮想通貨市場の課題を浮き彫りにしており、ブロックチェーン技術の透明性が悪用されることで、業界全体の信頼性が揺らぐ可能性がある。
今後、規制当局やプロジェクト運営側がどのように対応するかが、仮想通貨市場の将来を占う重要な鍵となるだろう。投資家にとっては、こうしたリスクを認識しつつ、慎重に行動することが求められる。