米国が北朝鮮を支援する個人2名と企業を摘発
米国財務省の外国資産管理局は、北朝鮮のデジタル資産の不正使用を助長したとして、UAEアラブ首長国連邦の個人2人と企業1社に制裁を課した。
Treasury Disrupts North Korean Digital Assets Money Laundering Network https://t.co/YxTqHbzCOi pic.twitter.com/gLpgbxxs09
— Matthew Levitt (@Levitt_Matt) December 17, 2024
財務省が北朝鮮のデジタル資産マネーロンダリングネットワークを妨害
大手メディアロイターの報道によると、米国は北朝鮮政府を支援する違法な仮想通貨関連ネットワークを阻止すべく、UAEの個人2名と団体1社に対する制裁を発表。制裁対象は、UAEに拠点を置く個人2人およびより広範なマネーロンダリング(資金洗浄)計画に関係するフロント企業Green Alpine Trading, LLCだ。これらの制裁と措置は、北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイル計画に数百万ドルを流用しているとされるネットワークを混乱させることを目的とし、平壌に直接送金していたと述べた。
北朝鮮は、デジタル資産とサイバー犯罪を利用し、大量破壊兵器(WMD)やミサイル開発に資金を提供しているとみられ、同政権は資金を生み出すためにIT労働者とハッカーを雇用し、複雑なマネーロンダリング活動を通じてその出自を隠していることが多い。
制裁対象となった個人とUAE拠点の企業は、北朝鮮の国営銀行である韓国光善銀行の代表者で、以前にも制裁対象となったシム・ヒョンソプ(Sim Hyon-Sop)氏の指揮下で活動していたと報じられている。シム氏は、仮想通貨の現金化とマネーミュール(※1)を組み合わせて資金洗浄を行ったとされている。資金はその後、北朝鮮に送り返され、軍事計画の資金として使われたとみられる。なお、今回制裁対象となっている個人2人は、仮想通貨を従来の通貨に換金したり、運び屋として活動したりして、こうした活動に協力したとされている。
お金の運び屋との意味が込められており、ネットバンキングへの不正アクセスなど、犯罪で得た不法収益を協力者の口座を通じて海外に送金する手口の事。また、犯罪と知らずに不正資金の送金を代行し、資金洗浄に加担した場合も指す。
制裁の影響
課された制裁により、今回制裁された個人または団体が米国内で所有するすべての財産が凍結され、米国民と企業は、彼らとの取引は違法となり、禁止された。
OFAC(米国財務省外国資産管理局)によると、これらの措置に従わなかった場合、米国外の個人または企業を含む、追加の執行措置が取られる可能性がある。財務省は、北朝鮮の軍事的野望に資金を提供するこれらの違法ネットワークの重要性を強調しており、テロ対策および金融情報担当次官代理のブラッドリー・スミス(Bradley Smith)氏は次のように述べた。
北朝鮮は、デジタル資産の悪用を含む複雑な犯罪計画を利用して大量破壊兵器や弾道ミサイル計画に資金を提供し続けているため、財務省は、この政権への資金の流れを促進するネットワークを断つことに引き続き注力している
北朝鮮のハッカーはこれまで、仮想通貨セクターの悪用や、外貨獲得のためのサイバー犯罪に注力しており、最近発見された手法の1つは、北朝鮮のハッカーが仮想通貨企業のトップエグゼクティブやリクルーターになりすまして犯罪行為を実行している。米国政府はUAEと連携してこれらの制裁を課し、北朝鮮の不安定化活動に対抗するための協調的な取り組みを示しており、今回の動きは、仮想通貨などの新興技術を悪用する違法金融ネットワークを標的とする上で国際協力が果たす重要な役割を強調している。