ウェルズ・ファーゴが不正送金疑惑で集団訴訟に直面
ペンシルベニア州の住民2人が、不正な電子資金移動と受託者義務違反を主張し、金融大手ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)に対して集団訴訟を起こしたことが分かった。
ジェニファー・ライス(Jennifer Rice)氏とエリック・ウェスターベルト(Erik Westervelt)氏は、2024年6月17日、ペンシルバニア州東部地区連邦地方裁判所にウェルズ・ファーゴ銀行ナショナル・アソシエーションに対する訴状を提出。銀行が不正な電信送金の補償をしなかったことで電子資金移転法に違反したと主張し、ペンシルベニア州で集団訴訟を提起した。
原告らは、ウェルズ・ファーゴの担当者を名乗る人物から2023年12月22日に共同口座から24,557.89ドル(約400万円)の不審な送金について警告する電話を受けと主張。発信者は、自分が正当な人物であるように見せかける情報を使い、テキストメッセージで送られてきた6桁の番号を確認するようウェスターベルト氏を説得したという。送金を阻止するため、発信者はテキストで送られてきた6桁のコードを確認するよう要求したが、同氏は気が付くとそのコードを気が付かないうちに提供してしまっていたという。その結果、多額の金額が共同口座からディスカバー銀行の身元不明の人物に送金された。
後に詐欺だと気付いた同氏は、すぐに同社の地元支店に事件を報告。同銀行の詐欺部門から当初は安心させられたが、最終的には、送金を「承認」したため返金されないと通知されたとのことだ。この訴訟では、ウェルズ・ファーゴの姿勢は、特定の基準を満たさない限り消費者を無許可取引の責任から免除する電子資金移転法に違反していると主張している。
原告側は電子資金移転法に違反を主張
訴訟では、ウェルズ ファーゴの拒否は、迅速に報告された場合に不正取引に対する消費者の責任を 50 ドルに制限する電子資金移転法(EFTA)に違反していると主張している。
被告は、同様の状況下で合理的な受託者であれば行動したであろう行動を怠ったと訴状には記載されている。一方の原告側は、これは孤立した事件ではなく、不正送金や返金の不足といった同様の問題を経験した多数の顧客に影響を与えるより広範なパターンの一部であると主張。
ライス氏とウェスターベルト氏は、この訴訟の集団訴訟としての地位を求めており、この訴状を提出する前の 1 年以内にウェルズ ファーゴの口座から資金が無許可で電子送金された米国のすべての個人を代表しているという。彼らは、ウェルズファーゴは無許可取引の通知がタイムリーであるにもかかわらず、そのような顧客に定期的に払い戻しを行っていないと主張している。
なお、両氏は、EFTA に基づくクラスメンバー 1 人あたり1,000ドルの法定損害賠償に加えて、実際の損害賠償、費用、妥当な弁護士費用、法定利率による判決前利息、および裁判所が適切とみなすその他の救済を要求。さらに、ウェルズファーゴに無許可の電子資金送金の取り扱いに関する慣行を変更するよう求める差止命令も要求している。
法的影響とより広範な影響
この訴訟では、クラスメンバー1人あたり1,000ドル(約16万円)の法定損害賠償と、手数料および費用の回収を求めている。
この訴訟は、金融機関が電子資金移転法の下で詐欺の申し立てと消費者保護をどのように扱うかに異議を唱える前例となる可能性があり、高い関心が寄せられている。この訴訟に対する世論の反応は、将来の銀行規制と消費者保護法に影響を及ぼす可能性があり、ウェルズ・ファーゴに責任があると判断された場合、他の銀行が詐欺防止および返金ポリシーを改訂するきっかけとなる可能性がある。そのため、この訴訟の結果は、金融機関とその顧客の両方にとって重要な意味を持つ。
ウェルズ・ファーゴとその顧客の間で展開されているこの法廷闘争は、金融業界における強力な消費者保護メカニズムの決定的な必要性を強調。訴訟が進むにつれ、これは、顧客を詐欺行為から保護し、違反が発生したときに適切に対応する銀行の責任に関する極めて重要なケーススタディとなる事が予想されている。